港区議会 > 2016-02-18 >
平成28年第1回定例会−02月18日-02号

  • "疑惑"(/)
ツイート シェア
  1. 港区議会 2016-02-18
    平成28年第1回定例会−02月18日-02号


    取得元: 港区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-21
    平成28年第1回定例会−02月18日-02号平成28年第1回定例会  平成二十八年 港区議会議事速記録 第二号(第一回定例会)   平成二十八年二月十八日(木曜日)午後一時開会     一 出席議員(三十四名)       一  番  玉 木  まこと 君      二  番  榎 本  あゆみ 君       三  番  山野井  つよし 君      四  番  兵 藤  ゆうこ 君       五  番  丸 山 たかのり 君      六  番  池 田  たけし 君       七  番  黒 崎 ゆういち 君      八  番  小 倉  りえこ 君       九  番  赤 坂  大 輔 君      十  番  横 尾  俊 成 君       十 一番  清 家  あ い 君      十 二番  榎 本   茂  君       十 三番  ちほぎ  みき子 君      十 四番  やなざわ 亜 紀 君       十 五番  有 働   巧  君      十 六番  鈴 木  たかや 君       十 七番  土 屋   準  君      十 八番  大 滝   実  君       十 九番  いのくま  正一 君      二 十番  杉 浦  のりお 君       二十一番  なかまえ 由 紀 君      二十二番  阿 部  浩 子 君       二十三番  近 藤  まさ子 君      二十四番  ゆうき  くみこ 君       二十五番  二 島  豊 司 君      二十六番  池 田  こうじ 君       二十七番  熊 田  ちづ子 君      二十八番  風 見  利 男 君
          二十九番  七 戸   淳  君      三 十番  杉 本 とよひろ 君       三十一番  林 田  和 雄 君      三十二番  清 原  和 幸 君       三十三番  うかい  雅 彦 君      三十四番  井 筒  宣 弘 君     一 欠席議員  な し     一 説明員       港   区   長  武 井 雅 昭 君    同 副  区  長  田 中 秀 司 君       同 副  区  長  小柳津  明  君    同 教  育  長  小 池 眞喜夫 君         芝地区総合支所長                麻布地区総合支所長       同          波多野  隆  君    同          青 木 康 平 君         街づくり支援部長兼務              保健福祉支援部長兼務         赤坂地区総合支所長               高輪地区総合支所長       同          安 田 雅 俊 君    同          横 山 大地郎 君         産業・地域振興支援部長兼務           環境リサイクル支援部長兼務         芝浦港南地区総合支所長       同          浦 田 幹 男 君    同 福祉施設整備担当部長 所   治 彦 君         子ども家庭支援部長兼務       同 みなと保健所長  吉 田 道 彦 君    同 特定事業担当部長 佐 野 和 典 君       同 用地・施設活用担当部長 齋 藤 哲 雄 君 同 防災危機管理室長 高 橋 辰 美 君                                 会計管理者       同 総 務 部 長  渡 邊 正 信 君    同          奥 野 佳 宏 君                                 会計室長事務取扱       同 教育委員会事務局次長  益 口 清 美 君     一 出席事務局職員       事 務 局 長    北 本  治  君    事務局次長      中 島 博 子 君                               議 事 係 長    河 野 あゆみ 君                                                他五名             ───────────────────────────       平成二十八年第一回港区議会定例会議事日程          平成二十八年二月十八日 午後一時 日程第 一  会議録署名議員の指名 日程第 二  代表質問・一般質問        井 筒 宣 弘 議員(自民党議員団)        清 家 あ い 議員(みなと政策会議)        池 田 たけし 議員(公明党議員団)        風 見 利 男 議員(共産党議員団)             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) これより本日の会議を開会いたします。  ただいまの出席議員は三十四名であります。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) これより日程に入ります。  日程第一、会議録署名議員をご指名いたします。三番山野井つよし議員、四番兵藤ゆうこ議員にお願いいたします。             ─────────────────────────── ○議長(うかい雅彦君) 日程第二、区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。最初に、三十四番井筒宣弘議員。   〔三十四番(井筒宣弘君)登壇、拍手〕 ○三十四番(井筒宣弘君) 平成二十八年第一回港区議会定例会にあたり、自由民主党議員団を代表して、武井区長並びに小池教育長に質問させていただきます。  ことしの正月三が日は穏やかな日よりとなり、多くの皆様が新年に希望を抱いて迎えられたことと思います。「春ここに生まるる朝の日をうけて山河草木みな光あり」という詩があります。私は、この詩にあるように、全ての区民の皆様が光を浴びたことで、この一年がよき年であってほしいと切望する次第でございます。  さて、区長は、昨日の所信表明の最後に、これまでの区民の皆様、多くの関係者の皆様のご協力に深い感謝の意を述べ、六月に予定されている港区長選において区民の審判を仰ぎ、引き続き区民のために区政運営の責任を担っていく決意を述べられ、四選出馬を明確にされました。  振り返りますと、武井区長の三期十二年の施策と区政運営について、私たち自民党議員団は、揺るぎない信頼を抱いて支持してまいりました。かくいう私も三十年の議員生活を通し、港区の歴代区長の中で、これほど長く安定した区政運営をなされた方を知りません。「一粒の花の種は、地中に朽ちず、終に千林の梢に登る」ということわざがあります。そのことわざを踏まえ、武井区長が気力ある限り、区政の先頭に立っていただくことを切に願うことを述べ、質問に入らせていただきます。  最初に、港区財政運営方針の改定についてお伺いいたします。  先月、総務常任委員会に、平成二十九年度までを計画期間とする現行方針を一年間前倒しをして、新方針を改定することと、改定に向けた方向性が示されました。現行方針は、平成二十年に発生したリーマンショックにより大きく冷え込んだ経済情勢のもと、追い打ちをかけるように東日本大震災が発生し、特別区民税収入の減収傾向がどこまで続くのか、全く見通せない状況のもとで策定作業が行われました。その後、平成二十四年末の政権交代を契機とし、日本の経済は回復へと転換することになりました。  アベノミクスによる景気への好影響は、まず大企業の業績回復へ結びつき、それはその後の特別区民税収入の増収傾向にも明らかにあらわれております。しかし、その一方で、まだ中小企業や区民一人ひとりまで行き届いていない状況もあるところです。  本定例会に提出された平成二十八年度港区一般会計予算案は千二百三億三千万円で、対前年度比五・四%増と積極的な予算案となっております。区長には、子どもや子育て世帯への支援、高齢者の支援をはじめ、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる環境の整備、また、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けた準備など、区政を取り巻くさまざまな課題に必要な財源を投入し、果敢な区政運営に取り組んでいただきたいと思っております。  一方で、区の財政運営においては、単年度予算だけでなく数年先を見据え、長期的な展望に立った計画づくりが欠かせないものとなります。それが中期的な財政計画である港区財政運営方針をあえて一年間前倒しをして、区長が次期方針の策定を進めるゆえんであると考えております。  さて、区の財政計画として、私がまず思い浮かべるのは、平成九年一月に策定された港区財政構造改革指針です。港区議会議員も今は若い議員が多く、当時現職だった区議会議員は少なくなっております。当時のことについて、少し話をさせていただきます。  昭和の終わりからバブル経済が続き、特別区税収入は毎年度伸び続け、平成三年度には過去最高額である五百三十五億円となりました。それがバブル景気がはじけた後の平成八年度の特別区税収入は、ピーク時の三分の二である三百四十五億円まで落ち込んでしまいました。そのまま財政運営を続けたら、区の貯金である財政調整基金が三年間で底をつくという状況になりました。そこで策定されたのが、初めての中期的な財政計画である港区財政構造改革指針だったわけです。その内容は、平成九年度からの三年間で経常経費を百億円削減するというもので、施設、いわゆる箱物建設を見送るほか、職員定数を大幅に削減し、事業なども大幅に見直されました。  そのほか、一例を挙げますと、学校屋内プール開放の休止や区立図書館では新しい図書をほとんど購入しないなど、区民の皆様が痛みを感じる施策も展開されました。それまで区が経験したことのないような未曾有の財政危機であったわけですが、区政の厳しい、しかし、速やかな対応により大きな危機を乗り越えることができたと改めて思い返すところであります。  その後、安定的な財政運営を目指し、平成十一年に策定された中期的な財政計画が、港区財政運営方針であり、今回は四回目の改定になると理解しております。現在、区の財政基盤は磐石ですが、だからこそ区財政のかじ取りは大胆であるとともに、慎重でなければならないと思っております。先行き不透明な経済情勢の中、景気の変動や国の税制改革により、特別区民税が減少することも考えなくてはなりません。一方で、都心港区にふさわしい質の高い行政サービスを進めるとともに、首都直下型地震発生の際の復旧・復興の備えなど、区の果たすべき役割は一層重要なものとなっております。  そこでお尋ねいたします。今後の財政運営の羅針盤となる港区財政運営方針改定のねらい、また、新方針の方向性について、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、港区政七十周年と総合支所制度についてです。  港区は、昭和二十二年三月十五日に、旧芝区、旧麻布区、旧赤坂区の三区が統合し誕生いたしました。そんな我がまち港区は、平成二十九年三月十五日に晴れて七十周年を迎えることになりました。かくいう私も昭和二十二年七月六日に、新橋は烏森のおもちゃ屋のこせがれとして生まれ、港区とともに七十歳を迎えることになりました。港区で生まれ育った区民の一人としてお喜びを申し上げるとともに、港区政の発展にご尽力いただいたたくさんの皆様に、心より感謝申し上げるものであります。  港区誕生以降、昭和二十七年に区長の公選制度が廃止されるなど、区の自治権が後退する時期もありましたが、昭和五十年に区長公選制度は復活し、東京都の所管であった保健所の事務を区が再度担うことになり、区は市並みの自治体と位置づけられました。さらには平成十二年度に、都区制度改革が一層進み、清掃事業などが東京都から移管され、区の役割はさらに大きくなり、港区は区民に最も身近な自治体として区民サービスの充実に努めてきたわけです。  この間、区民の皆様の港区に対する愛着が大きくなる取り組みも行われてきました。昭和六十一年に区の木としてハナミズキが、区の花としてアジサイとバラが選定され、区施設などが建設される際には広場や花壇などに植樹されてきました。また、平成九年の港区政五十周年記念に補作・編曲された区歌は小・中学校の入学式や卒業式で流されるなど、区民の皆様に身近な歌となっております。  港区政七十周年である平成二十八年度には記念式典・記念事業の実施、港区史・港区教育史の編さんをはじめ、さまざまな事業や行事が予定されています。私は、港区政七十周年の節目を迎えることができたということは、港区のために長い道のりを一生懸命尽くされた区民の皆様、職員の皆様、そして区に関係された多くの高齢者の皆様の絶え間ないご努力のたまものであると考えております。ゆえに記念事業はこうした区政にかかわってこられた方々へ感謝の意をあらわすものであることが欠かせないものだと思います。あわせて、現在港区に住む区民の皆様、中でも人口増加が著しい子どもたちの明るい将来を見据えたものにしてほしいと考えております。  そこで、区長にお尋ねしいたします。区長は、港区政が七十周年を迎えるということについて、首長としてどのようなお気持ちでしょうか。区政七十周年を記念するさまざまな事業に取り組む区長の意気込みとあわせてお聞かせください。  武井区長は、港区政七十年の中で三期十二年にわたり、港区長として区政運営のかじ取りをしてこられました。中でも武井区政が実現した大きな施策として、区民に身近な場所で必要なサービスを提供する、芝・麻布・赤坂・高輪・芝浦港南の五地区の総合支所の設置があります。それまでは区民の皆様が芝公園の本庁舎に足を運ばないと受けられなかった福祉関係などのサービスが、地域の総合支所で受けられることとなりました。また、地域の特性を生かしたさまざまな事業が区民参加のもとで生まれ、現在充実して実施されております。  そこで、区長にお尋ねいたします。区長は、総合支所制度をどのように総括しておられるのでしょうか。また、今後、総合支所の果たすべき役割をどのように充実させていくのか、お考えを伺わせてください。  さて、ことしは四年に一回のオリンピックパラリンピック競技大会がブラジルのリオデジャネイロで開催されます。そして、二〇二〇年の開催地が東京に決定されております。  振り返りますと、昭和三十九年の東京オリンピックは、私は十七歳の高校二年生の秋でした。十月十日、晴れ渡った青空の中、五機のブルーインパルスが五つの輪を描いたことが、つい最近のことに思えます。同僚の議員の中には、まだお生まれでない方もおられると思います。そのオリンピックを機に新幹線が走り、高速道路が拡充され、まさに日本の高度経済成長の先駆けとなる時期でありました。オリンピックというのは世の中の大きな弾み、きっかけを伴うということを教えてくれました。  さて、二〇二〇年まであと四年となりました。時間というのは長いようで短いものです。開会式の会場となる国立競技場に関して、当初東京都知事は建設費用負担を拒否しておりましたが、結局のところ四百億近い負担をすることになったという報道がされています。このような経緯を踏まえますと、競技会場に近い各区の関係費用も懸念されるわけですが、区としては、関係整備費用などをどのように見込んでおられるのかお尋ねいたします。  東京への誘致活動の際には、「おもてなし」のメッセージが印象的でした。開催の際には、世界各国から多くの人が東京を訪れると思います。当然のこととして、港区には多くの人が観光に訪れることになるでしょう。わかりやすい観光案内や道路標識、外国語を話せるボランティア活動などさまざまなことが考えられますが、区としてはどのような形で、おもてなしをされるお考えでしょうか。お尋ねいたします。  このことに関連しての提案ですが、区内には多くの伝統ある神社仏閣があります。それらは日本人の心のよりどころをあらわすものであります。先祖を敬い、国を思う心、文化の継承、日本人の国民性の紹介、そして強い平和への思いといったことを広く理解していただき、絆を深めてもらえるように取り組みを検討されたらいかがでしょうか。  もう一つの提案は、モニュメントの設置です。二〇二〇年の東京オリンピックパラリンピック競技大会には、外国人がたくさん訪れることでしょう。その外国人の東京のイメージは、東京タワー、浅草の浅草寺、スカイツリーなどでしょうが、港区はその地名があらわしているように海に接しております。そこで、海や港にちなんだモニュメント、港区の平和像2020を建立するのはいかがでしょうか。  さらに、次に提案するのは湾岸地域のまちづくりです。台場には臨海副都心開発によって多くの人が住み、働き、また訪れる人の観光名所になっております。しかし、対岸となる竹芝、日の出、芝浦、港南の方面は、近年マンションやホテル、その他企業の建物は増えておりますが、湾岸のよさを十分引き出した魅力あるまちづくりが行われているとは言えないような気がしております。私は、港区にとってこのエリアこそがこれからの時代、未来を創造する絶好のエリアに思えるのですが、区長のビジョンの有無をお尋ねいたします。  次に、港区観光協会と港区内料理飲食業組合などとの連携についてお伺いいたします。  港区は昨年四月より観光施策担当課長を設置し、区内の観光をより活発なものとするため、さまざまな施策を実現しようとしております。観光課の設置を強く要望してきた我が会派としては大いに期待をしております。今後の観光施策を進めていかれる中で、日本の食文化についてもより積極的な施策を打たれるべきだと考えます。飲食から物販まで、多岐にわたる商店街の振興施策も大変重要でありますが、観光施策を考えていく上で、区内の飲食業の販売活動の促進に対する施策にも取り組んでいくべきだと考えております。  港区には、三田、新橋、赤坂・青山、麻布の四地域の料理飲食業組合があります。各地域でお互いの会合に行き来して、友好を深め情報交換されております。しかしながら、この組合はみなと食品衛生協会の下部組織であり、所管をしているのはみなと保健所であります。つまり、この組合の活動は、同業の販売促進活動ではなく、検査、指導等の食品衛生にかかわることに限られてしまいます。ここがまことに残念な点であり、飲食業としての販売活動や情報提供を区でできれば、こんなに効果的なことはないのではないでしょうか。区の観光振興を考える上で、飲食業は欠かせないものであり、訪日客へのおもてなしとしても大変重要な役割を果たしてくれるものと確信いたしております。ぜひこの四地域の料理飲食業組合と港区観光協会を連携させて、新たな観光施策につなげていくべきであると感じますが、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、客引き行為等の防止に関する条例についてお伺いいたします。  港区は、新橋、六本木、赤坂など、国内有数の繁華街を有しているところであります。こうした繁華街では、区民や来訪者の通行を妨げるような飲食店の従業員などによる客引きや客待ち行為が横行し、課題の一つとされております。現行の港区基本計画の策定に伴い、みなとタウンフォーラムにおける区民意見にも「繁華街における客引き行為を何とかしてほしい」との声や、平成二十七年度から平成二十九年度までを期間とする港区生活安全行動計画の策定に伴い実施した区民アンケートでは、繁華街における犯罪不安の要因として、回答者のうち約四六%の区民が「強引な客引き行為や立ちふさがりが不安である」と回答しております。  区の安全で安心できる港区にする条例では、強引な客引きを規制しているところではありますが、新橋地区の客引き行為の状況は、五年前に比べると増加しているという意見があります。また、最近では慶応仲通り商店街においても客引き等迷惑行為が多く見受けられ、大変困っている状態です。  このような中、本年一月二十一日から六本木地区において客引き等迷惑行為防止啓発員巡回啓発業務が開始されたところであります。私は、この事業を高く評価するところでありますが、東京都の九区四市が、客引き行為等の防止に関する条例を制定しており、豊島区では、豊島区客引き行為等の防止に関する条例を制定した上、違反行為を繰り返す者には過料を科すなど、規制を強化していると聞きます。また、新宿区は平成二十五年六月に、新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例を制定して運用してきたところでありますが、改善されないことから過料の罰則を規定した条例改正を行うと聞いております。  私は、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催を見据え、誰もが安心して訪れることのできる港区とすることが重要であり、そのためには港区こそ客引き行為等の防止に関する条例が必要だと考えております。  そこで質問ですが、武井区長は、客引き行為等の防止に関する条例の制定についてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。  次に、実効性のあるマンション建て替え支援策について質問いたします。  昨日の区長の所信表明の快適なまちづくりの中に、シティハイツの建て替えがありましたが、地下直下型大地震がささやかれている今、ぜひ所信表明の中に既存不適格建物の建て替えなども入れてほしかったところです。  現在、全国のマンションの四分の一以上が東京都に集積しており、「マンションは東京」という大都市における特徴的な居住形態となっております。特に港区では、住宅のうち九割はマンションであり、区民にとって不可欠な生活基盤であると同時に、都市や地域社会を構成する重要な要素となっております。一方では、区内には昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築されたマンションが数多くあり、大地震が起きた際、耐震性の不足したマンションが倒壊し、道路閉鎖による救急、消防活動への弊害や人命にかかわる被害が懸念されるなど、建物の耐震化は緊急の課題です。  港区では、旧耐震基準により建てられたマンションの耐震診断や耐震改修の助成など、さまざまな支援制度が充実しております。さらに平成二十七年六月には、分譲マンションの建て替えを推進するため、容積率の割り増しを可能とする港区マンション建替法容積率許可要綱を創設いたしました。マンションの耐震化の取り組みは着実に成果を上げている一方で、老朽化したマンションについては、現行規制により、現在の建物規模が確保できないなどの課題があり、建て替えが進んでいないのが現状ではないでしょうか。既存不適格マンションの耐震化並びに建て替えなどを促進するためにも、現在住まわれている居住者が、住み続けられるような実効性のあるマンション建て替え支援策が必要ではないでしょうか。区長のお考えをお尋ねいたします。  次に、高齢者の社会参加及び就労の機会拡充について質問いたします。  古くは万葉の時代から、「物皆は 新しきよし ただしくも 人は古りにし よろしかるべし」と歌われていました。これは「全ての物は新しいのがよい。ただ、人間だけは老人こそがよいはずだ」という教えであります。長年の経験、知識、技能といった身に備えられたものは、社会の貴重な財産でもあります。高齢者の社会参加は、高齢者自身にとってどんな良薬よりもすぐり、健康維持と長寿の礎になると考えます。  現在の日本の社会では、六十五歳までの継続雇用の終了後、再就職が難しくなります。そのため年金生活に入ってしまい、社会から突然隔離された状態に置かれてしまいます。求人案内を見ると、多くは六十五歳までで、長くても七十歳という限界を設けています。まことにもったいないという気がしてなりません。我が国は、少子高齢化が進行していく中で、外国人労働者の活用の必要性が、特に介護や看護の分野で現実のものとなっております。また、大手企業では正社員に占める外国人の割合が増加しております。このような状況を踏まえ、港区でも高齢者、障害者の就業機会を増やす具体的な手だてをさらに講じる必要性に迫られていると考えております。  福島県の矢祭町では、住民自身が行政にかかわることで、役場の職員定数に占める正規雇用の割合が縮小されたと聞いております。区のさまざまな業務の中には、元気な高齢者をもっと活用できる業務があると思います。埋もれた労働力である方々を幅広く活用される方策についてお尋ねいたします。  少し道が外れますが、次に、港区老人クラブ連合会についてお尋ねいたします。  港区老人クラブ連合会、通称区老連は、昭和三十七年連合会結成から昨年五十周年を迎えました。大変長い間、お元気な高齢者の方々が築き上げた伝統のあるすばらしい団体だと思っています。とても残念ですが、現在、三十四名の港区議会議員の中で入会できるのは風見議員と私だけであります。まあ余談は抜きにして、最近各いきいきプラザの指定管理者の行き過ぎたサービスの競争が目に余るものがあります。いわゆる指定管理者との重複行事です。一例を挙げれば、一日バス旅行の費用ですが、指定管理者は区老連の半額で募集しています。綿々と築き上げてきた伝統ある区老連の事業を露と消さないためにはどのようなことが考えられるのか、区長にお尋ねいたします。  次に、障害者施策の推進における区長の姿勢についてお伺いいたします。  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、この四月から施行される法律です。これを契機に、区の障害者施策の姿勢についてお尋ねいたします。  港区の人口は、今後二十年程度増加が続くと予測されており、人口の増加に伴い、障害者数も増えております。身体障害者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳の港区における合計所持者は、平成二十二年度は六千百十六人、平成二十六年度は七千九十四人であり、このまま増加した場合、平成三十三年度には八千二百人近くの障害者の方が港区におられるものと予測されております。このため障害者福祉サービスの需要が増えるとともに、都心特有の生活環境も相まって、障害者福祉ニーズも多様化していくことが想定されております。障害者差別解消法の施行を契機として、これまで区が取り組んできた心のバリアフリーの推進に加え、区民の障害者への理解が一層深まり、障害者が尊厳にあふれた毎日を、安心して港区で送ることができる地域社会が実現されることを期待しております。  そこで質問です。今後増加していく区民の障害者やその家族のことはもとより、観光客や就業者など、多くの障害者が訪れる国際都市・港区にふさわしい障害者施策をどのように推進していくのか、区長のお考えをお尋ねいたします。  次に、青少年の健全育成と保護施策についてお伺いいたします。  いつの時代にあっても痛ましい事件は起こっています。しかし、最近の事件は青少年が加害者になり、また、被害者となるケースが多く発生し、社会に深刻な問題を投げかけております。昨年の川崎市の河川敷で中学一年生が遊び仲間の少年グループに殺害された事件、千葉県の高校生が「殺すのは誰でもよかった」と祖父母を殺した事件、また、学校でのいじめによる児童・生徒の自殺は後を絶たず、あるいは幼い子どもを放置して餓死させた夫婦や、暴行して我が子を殺害した父親などの事件を思い出すと、人間はどうしてこんなにも残酷になれるのかという思いにかられます。  これらの事件は、学校教育のあり方を超えた予想できないケースなのかもしれません。しかしながら、社会がこれらの事態に何も布石を打たなかったらさらに事件が繰り返され、エスカレートしていくのは目に見えております。しかし、それでは、誰がどのようにすればこのような悲惨な事件が防げるのかという大変難しい思いに突き当たってしまいます。多くの子どもたちは生まれてから保育園や幼稚園、小・中・高校または大学などに進み、両親や親戚、先生、友人、地域の人々と交わりつつ成長していきます。この過程において、よき人間関係を築いていれば、成長のために申し分のない機会となります。しかし、場合によっては、これらの過程は当人にとって受け入れがたい環境であったり、耐えがたい人間関係ともなり事態は深刻化していきます。  「風雪人を磨く。家貧しゅうして孝子出ず」ということわざがあります。人を竹に例えれば、温暖なところではやわらかい竹が生まれ、それは大変弱く、風雪に耐えた竹はがっちりと育ち、たくましく、家貧しくても孝子があらわれるという意味です。逆境に遭ったときこそ、誠実な人間があらわれるものだということです。しかし、未熟な青少年に精神力のみ期待するのはいかがなものかという気がしてなりません。私自身を含めると、人はそんなに強くはなれないと考えるからであります。大変難しいことだと思います。青少年等の弱い立場に置かれている者に対して、共生社会を構築していく観点から行政の立場として、区長と教育長にそれぞれのお考えをお伺いいたします。
     次に、子どもの貧困対策についてです。  区は、我が国の将来を担う子どもたちのため、さまざまな施策を実施してきました。中でも区が最重要課題として取り組んできた保育園の待機児童対策は大きな成果を示し、昨年二百七十四人だった待機児童を現在では三十人ほどと大きく減少させております。引き続き待機児童ゼロを目指し、必要な施策を推進していただきたいと思います。  子育て支援策として現在大きな課題となっているのが子どもの貧困対策です。厚生労働省が実施した調査によると、我が国では実に子どもの六人に一人が貧困状態であるとされております。これは平均的な所得層と比べ二分の一の所得を「貧困ライン」と呼び、ここに満たない所得の家庭で育つ子どもの数が全国で三百万人、率にして六人に一人であるというものです。子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、世代を超えて貧困を連鎖することのないよう必要な環境を整備し、また教育の機会均等を図ることが極めて必要になっております。  安倍内閣は、平成二十六年一月、子どもの貧困対策の推進に関する法律を施行し、現在、学校へのスクールソーシャルワーカーの配置や無料学習塾の設置などに取り組んでおります。また、地方自治体の役割も重大であり、東京都は平成二十八年度の新規重点事業として、子どもの居場所の創設や地域未来塾の設置などを掲げております。  そのような中で、私は、子どもの貧困対策に関して、区民に最も身近な自治体である区の果たすべき役割が特に大きいと考えております。子どもの家庭環境、また貧困の状態は、それぞれの子どもにより多種多様であり、その原因も異なっております。基礎自治体である区だからこそ、家庭の貧困の状況を的確に把握し、一人ひとりの子どもに応じたきめ細やかな施策が展開できることと思います。子どもの生活支援、学習指導、保護者への就労支援など、区が進める子どもの貧困対策には家庭の実態調査がとても重要なものとなります。  昨年八月、区は、子育て、教育、生活福祉など、庁内の関連部署からなる子どもの貧困対策部会を立ち上げ、子どもがいる家庭の実態把握に取り組んできました。実態把握を進める一方で、区は、平成二十八年度の緊急的な取り組みとして、子ども中高生プラザ等での子どもの居場所づくりチャレンジ事業、子ども家庭支援センターで親同士の悩みを共有しながら親の養育力を高める親支援プログラム事業などを新規事業として、平成二十八年度予算に計上しております。「子育てするなら港区」という区の姿勢にふさわしい進取の精神あふれる取り組みであり、積極的な事業展開を期待しております。  そこで、区長にお尋ねいたします。これまで把握してきた実態調査を踏まえた上、港区における子どもの貧困対策を今後どのように進めていこうとお考えなのでしょうか。お尋ねいたします。  結びになりますが、私は港区議会議員に初当選した際、恩師である故青草千代子先生から、「人間は成長するにつれて考えも深くなり、物を見る目も正しくなり、心に感じたことが自身の心に豊かに蓄えられていく」ということを教えられました。  ところで、先ほども特別区民税収入について触れましたが、私が初当選した昭和六十三年度の予算会計は、一般会計、国民健康保険事業会計、老人保健医療会計の三会計で、その当初の予算合計額は約七百十億円でした。そのうち一般会計予算は五百三十億八千二百九十三万八千円で、平成二十八年度予算案の特別区民税収入六百三十五億四千六百六十八万円より少ない予算でした。また、人口も十七万七千人でした。さて、これから審議する平成二十八年度予算案は四会計合計で千六百九十億円余です。人口も二十四万人強になり、出生率も大幅に増えております。  そこで、私たち三十四名の港区議会議員は、昨年の四月、区民の皆様の信託を得て当選したことをいま一度省み、初心に戻り港区民の皆様のために真摯に働こうではありませんか。かくいう私も初心に戻り働く所存であります。  以上をもちまして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの自民党議員団を代表しての井筒宣弘議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、港区財政運営方針の改定についてのお尋ねです。  まず、改定のねらいについてです。区はこれまで、港区財政運営方針に基づき、あらゆる世代が将来にわたって安心できる財政運営を目指して、限られた貴重な財源を重点施策や緊急的な課題に集中的に配分するとともに、積極的な財源確保に努めてまいりました。その結果、特別区民税収入が増収傾向に転じたこともあり、経常収支比率が改善するなど、区財政は健全な状況を維持しております。  区を取り巻く状況は、人口増加に伴う多様な行政需要や新たなまちづくりの動きの加速化など、今後も大きく変化していくことが見込まれます。区財政が健全な状況を維持している今こそ、将来課題を先取りする積極的・戦略的な財政運営を展開する好機と捉え、港区財政運営方針を一年前倒しして改定することといたしました。  次に、新方針の方向性についてのお尋ねです。  新たな港区財政運営方針には、将来課題を見据えた積極的・戦略的な財政運営の考え方を盛り込みます。  第一に、突発的な事態への備えです。経済情勢の急激な変化や首都直下地震など、突発的な事態にも機動的に対応するため、積極的な歳入の確保策や緊急的な行政需要にも安定的に対応するための基金のあり方などを検討いたします。  第二に、将来顕在化が見込まれる課題への対応です。人口増加に伴い将来的に見込まれる行政需要やさまざまな状況変化に伴う新たな課題に迅速かつ的確に対応するため、各部門の主体性を高め、より迅速な課題解決を可能とする予算編成のあり方について検討いたします。今後も、質の高い行政サービスを支える強固な財政基盤を堅持するため、新たな港区財政運営方針を策定してまいります。  次に、港区政七十周年と総合支所制度についてのお尋ねです。  まず、区政七十周年の思いと記念事業に向けた意気込みについてです。来年の三月十五日、港区が誕生して七十周年を迎えます。この間には、区が東京都の内部団体に位置づけられ、区長公選制が廃止されるなど、自治権が大きく制約された時期もありました。その後、区民・議会が一体となった粘り強い都区制度改革の取り組みにより、特別区は基礎自治体として位置づけられ、区民に身近な事務を責任持って担うことで、区民の暮らしやまちの発展に大きく貢献することができました。平成二十八年度は、区民の皆さんと港区政七十周年の喜びを分かち合う記念の年にするとともに、先人の努力をたたえ、これからの港区の自治のあり方を区民とともに考える契機とし、さらなる自治権の拡充に取り組んでまいります。  次に、総合支所制度の総括と役割の充実についてのお尋ねです。  私は、平成十八年四月、区民に信頼され、区民の身近にあり、区民の誇りを創造する区政の実現を目指して、区役所・支所改革を実行し、総合支所中心の区政運営に転換いたしました。  平成二十五年四月には、商店街振興や生活安全、観光に関する事業など、総合支所の機能を充実し、権限を強化いたしました。各地区の総合支所で、健康相談や保育園の入園申請など、区民一人ひとりの日々の暮らしに必要なさまざまな手続や相談が可能となり、身近な区民サービスの拠点として浸透しております。  また、区民の皆さんの参画により、地区版計画書を策定するとともに、地域の生活安全や環境美化活動など、協働による取り組みを積極的に実施しており、これらを通じて信頼関係が深まり、参画と協働の輪が着実に広がっていることを実感しております。今後も、総合支所中心の区政運営をさらに推進し、その役割である身近なサービスの提供や地域の課題を解決する機能の充実に必要な権限や機能の拡充について、継続的に検討を進めてまいります。  次に、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会についてのお尋ねです。  まず、区が負担する関係整備費用の見込みについてです。港区内では大会の競技会場として、お台場海浜公園が決定しており、公園内に予定されている仮設の施設については、大会組織委員会の責任で整備されます。  大会開催に伴うその他の整備費用については、現時点では、区が費用負担を求められているものはありませんが、区が主体的に行う気運醸成の取り組み費用や事前キャンプ誘致が成功した場合の環境整備費用などは一定の支出が想定されます。今後も、大会組織委員会や東京都との情報交換を密にし、大会開催の成功に向け必要な支援・協力を行ってまいります。  次に、港区ならではのおもてなしについてのお尋ねです。  私は、安心して快適に観光を楽しむことができる環境をハード・ソフト両面で整備することが、おもてなしにつながると考えております。都内で最多のホテル等の客室数があり、東京、また日本の玄関口である港区は、多くの国々から数多くの外国人観光客が訪れ、滞在するエリアです。区内各所の魅力的な観光スポットを円滑にめぐっていただくための観光ガイドや案内サインの多言語化、新橋、六本木、赤坂といった国内有数の繁華街の治安改善などの取り組みを総合的に推進し、最高のおもてなしを実現してまいります。  次に、絆を深める取り組みの検討についてのお尋ねです。  区は、和菓子などの伝統文化の奥深さやすばらしさを的確に外国人に伝える商店を支援する事業や伝統芸能の公演を通じて日本文化の魅力を深く理解していただくなど、さまざまな取り組みを進めてまいりました。  また、みなと区民まつりでは十五カ国の大使館と連携し、各国の魅力に直接区民が触れ、相互理解を深める機会を提供しております。今後は、区内の史跡、寺社などの魅力ある歴史的資源の情報発信や新旧が織りなす日本文化の紹介などを通じ、伝統と多様性を大切にし、平和を愛する国民性を外国人に理解していただき、日本人と外国人の絆を一層深める取り組みについて検討してまいります。  次に、モニュメントの設置についてのお尋ねです。  二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会の際には、外国人を含め多く観光客が東京を訪れます。港区には、東京タワーや増上寺など、世界に誇れる魅力的な観光・文化資源が多数あります。区は、こうした資源を生かした観光客や来街者に対する港区の魅力発信を一層強化するとともに、ご提案の大会開催を契機としたモニュメント設置につきましては、港区政七十周年記念事業の取り組みとあわせ、広く区民の皆さんの声を聴き検討してまいります。  次に、湾岸地域のまちづくりについてのお尋ねです。  区は、運河沿緑地の整備とともに、港区景観計画に基づき、民間開発に対して、運河とまちが一体となった水辺景観を創出するための指導・誘導を行っております。また、東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催を契機に、芝浦港南地区総合支所を中心に水辺空間の活性化に向けた取り組みを検討しております。  今後、平成二十八年度末に改定を目指す港区まちづくりマスタープランの中で、緑と水のネットワークの形成、水辺の観光資源を活用したイベントやカフェ等によるにぎわいの創出、海や港を感じることができる明るく解放感のある景観の形成、運河を活用した舟運ネットワークの形成など、水辺に開かれた魅力あるまちづくりについて具体的に方針をお示ししてまいります。  次に、港区観光協会と料理飲食業組合との連携についてのお尋ねです。  食事は、観光客にとって滞在中の楽しみの一つであり、旅行先を選ぶ際の重要な要素の一つです。港区は、都内最多の飲食店数を擁し、由緒ある老舗や新進気鋭のレストランなどが提供する世界各国の料理は、ミシュランガイドにも多くの店舗が掲載されるなど、高く評価されております。また、庶民的な味でぬくもりを伝える店舗も数多くあり、こうした食の魅力を求めて、港区には多くの観光客が訪れます。港区観光協会と料理飲食業組合が連携して国内外へ港区の食の魅力を発信できるよう、区は、両団体の協力関係の構築に向けて積極的に取り組んでまいります。  次に、客引き行為等の防止に関する条例の制定についてのお尋ねです。  区は、繁華街における客引き等迷惑行為等の防止策として、今年度、客引き防止プロジェクトを実施し、客引き行為等の実態調査や地域住民、警察などと協働したパトロール等を重点的に行っております。本年一月二十一日からは、客引き等迷惑行為防止啓発員を六本木地域に配置し、四月からは新橋、赤坂地域にも拡大する予定です。このような取り組みの成果を検証しながら、東京オリンピックパラリンピック競技大会開催を見据え、より一層安全で安心できる港区とするために、平成二十八年度中に飲食店等を含む全ての業種を対象に、公共の場所における客引き・客待ち行為を規制する条例の制定を目指してまいります。  次に、実効性のあるマンション建て替え支援策についてのお尋ねです。  区は、マンションの建て替えを促進するため、ワンストップで対応できるマンション建替え支援担当部門を平成二十七年四月から配置し、あらゆる相談に応じております。六月には、老朽化マンションの建て替えを促進するため、容積の割り増しを可能とする港区マンション建替法容積率許可要綱を創設いたしました。しかしながら、日影規制や斜線型高度地区などにより、既存不適格となるマンションには、この容積割増制度を適用できず、課題となっております。既存不適格マンションの中には、隣接地との共同化や地区計画などのまちづくりの手法を導入することにより、課題が解決できるものもあり、専門的な支援が必要です。区は、現在住んでいる方々が、建て替え後も引き続き住み続けられるよう、マンション管理組合と十分な検討を重ね、マンション建て替えにつなげてまいります。  次に、高齢者の活用についてのお尋ねです。  区は、高齢者が社会の担い手として、長年培ってきた能力や技術を生かして就労できるよう、港区シルバー人材センターや無料職業紹介を行う港区アクティブシニア就業支援センターの取り組みを支援しております。港区シルバー人材センターに、介護予防総合センターの窓口の受付、また区民協働スペースの利用者受付や区政資料室での区刊行物販売など、区のさまざまな業務を委託し、就労機会を確保しております。今後も、地域の貴重な人材である高齢者の労働力を生かせるよう、港区シルバー人材センターや港区アクティブシニア就業支援センターとの連携を強化し、高齢者の活用に積極的に取り組んでまいります。  次に、港区老人クラブ連合会についてのお尋ねです。  港区老人クラブ連合会は、会員の豊富な知識と貴重な経験を生かし、社会奉仕活動や施設訪問などにご尽力をいただくとともに、高齢者の社会参加や健康保持活動に取り組んでいただいております。今後、港区老人クラブ連合会と健康づくりや交流等の場であるいきいきプラザが一層連携を深めることで、それぞれが実施する事業の魅力が高まり、参加者の増加につながることが期待されます。区は、港区老人クラブ連合会といきいきプラザ、それぞれ実施している事業内容の情報共有を積極的に進めることで、港区老人クラブ連合会の活動がこれまで以上に活発に行われるよう取り組んでまいります。  次に、区の障害者施策の推進についてのお尋ねです。  区は、障害者差別解消法の施行を契機に、障害者の権利擁護や自立支援に積極的に取り組むとともに、区民や事業者に対し、障害者への理解の促進を図ってまいります。また、平成二十六年度に改定した、港区バリアフリー基本構想に基づき、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりを推進しております。このような区の取り組みは、区民である障害者はもとより、観光や就業などで国内外から港区を訪れる多くの障害者が安心して活動できるまちづくりにつながるものです。また、企業における障害者への理解を促進することで、障害者の雇用拡大や障害者が働きやすい就労環境の形成に大きく寄与していくものです。今後とも、障害者が地域の中で安心して暮らし、活動ができ、働くことができるまちの実現に向け、さまざまな障害者施策に積極的に取り組んでまいります。  次に、青少年の健全育成と保護施策についてのお尋ねです。  区は、港区青少年問題協議会を通じて、地域の子どもは地域ぐるみで育てるを基本理念とし、行政と地域が連携しながら、青少年の健全育成に取り組んでおります。港区青少年問題協議会は、区や教育委員会のほか、警視庁少年センターなどの関係行政機関やPTA、民生委員・児童委員、青少年委員、青少年対策地区委員など、地域の皆さんで構成されており、今年度は新たに更生保護女性会が加わるなど、活動の輪がさらに広がっています。  青少年と大人とが信頼関係を築く上での第一歩として、日常の挨拶を交わし合うことから始まり、青少年が作成したポスターを活用した薬物乱用防止キャンペーン、地域清掃のボランティア活動など、青少年を取り込んだ地域ぐるみのさまざまな取り組みを推進しています。  また、子ども家庭支援センターでは、みなと子ども相談ねっと等により、青少年が抱える問題にきめ細かに対応しております。青少年の悩みや感情に寄り添い、問題の背景にある人間関係や家庭の事情なども考慮しながら、専門機関とも連携して、問題解決を支援しております。今後も家庭や学校、地域、関係行政機関等との連携をさらに強化し、青少年の健全育成に取り組んでまいります。  最後に、実態調査を踏まえた子どもの貧困対策についてのお尋ねです。  これまで区は、日頃から子どもや家庭への支援にかかわる部署において、子どもや保護者の生活状況など、子どもの貧困の実態把握を進めてまいりました。また、子どもの生活や学習環境と家庭の経済状況との相関関係を把握するため、平成二十五年度に実施した、港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査の再分析を行いました。その結果、経済的に困っている家庭の子どもは学習面に対する不安が大きい傾向にあることや経済的に恵まれた家庭でも子どもとのかかわりが少ない例があることなどが課題となっており、学習ボランティア養成事業など、早急に取り組むべき対策を平成二十八年度予算案に計上いたしました。  今後も、貧困に至る過程や現在の貧困の状態等について、さらに詳細な実態調査を行い、子どもの育成を阻害する原因を経済的な面からだけでなく、さまざまな角度から家庭の生活実態を把握し、子どもの将来が、生まれ育った環境に左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、港区の特性を踏まえた取り組みを全庁挙げて推進してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕 ○教育長(小池眞喜夫君) ただいまの自民党議員団を代表しての井筒宣弘議員のご質問にお答えいたします。  青少年の健全育成と保護施策についてのお尋ねです。  各小・中学校では、思いやりや他者との絆を大切にする心の育成などの道徳教育の充実はもとより、スクールカウンセラーの配置や緊急時におけるスクールソーシャルワーカーの家庭への派遣など、さまざまな相談に応じる体制の充実に努めております。  また、教育センターでは電話相談及び面接相談等を行い、学校や親などには相談しにくいと感じている青少年への対応に力を入れております。さらに、区内の警察署や私立も含めた小・中学校、高等学校の生活指導担当の教員が集まり、生活指導を充実させることをねらいとする、小・中・高健全育成連絡協議会を年一回開催し、情報の共有と課題解決に向けた協議を行っております。今後も引き続き、PTAや青少年委員、青少年対策地区委員会の活動など、家庭や地域の協力を得ながら、一人ひとりの豊かな人間性が育まれるよう、青少年の健全育成に取り組んでまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(うかい雅彦君) 次に、十一番清家あい議員。   〔十一番(清家あい君)登壇、拍手〕 ○十一番(清家あい君) 平成二十八年第一回港区議会定例会にあたり、みなと政策会議を代表して、区長並びに教育長に質問させていただきます。  きのう武井区長の所信表明を伺いました。三期十二年の実績を得た自信から、グローバル化が進む世界の中の港区の役割をしっかりと認識され、港区から日本をリードしていくという新たな決意が見て取れるすばらしい内容であったと思います。  グローバリゼーションと新自由主義が世界を席巻し、日本では超少子高齢化と人口減少で日本経済が縮小する中、アベノミクスによる経済格差、政治の急速な右傾化が進んでいます。子どもの六人に一人、単身女性の三人に一人が貧困状態と言われているのが今の日本です。  社会の連帯が引きちぎられ、政府機能が縮小され、もともと日本の福祉は少ない税負担のかわりに家計で補われてきたものが、家計の縮小により最低限の福祉さえ得られないような状況に置かれ、住民の公的福祉のニーズは高まる一方です。国のかわりに住民福祉と地域連帯を補う使命を課された地方政府の役割は、非常に大きいと痛感します。富の集中化が進む中、最大の恩恵を受けているとも言える港区が、自分たちの自治体の経営ばかりにきゅうきゅうとすることなく、日本をリードする使命があるという自覚を持ってモデルケースを打ち立て、全国に発信していかなければならない、そう考えています。  さきおととい発表された二〇一五年十月から十二月期の国内総生産、GDPは、第二・四半期ぶりのマイナス成長となり、世界的な金融市場も混乱の渦中にあり、日本経済は大きな試練に立たされています。そして、日々揺れ動く経済指標の水面下で、確実にかつ深刻なスピードで進行しているのが超少子高齢化による人口減少です。今の出生率がこのまま続けば、今後百年以内に日本の人口は百年前と同じ五千万人になると言われています。しかも、明治時代のように若者が満ちあふれていた国ではなく、高齢化率が四〇%に達する老いた五千万人国家です。一刻も早く国を挙げてこの問題に取り組む必要があり、政治的な連帯と社会の連帯が何より求められています。  二元代表制をとる地方政治において、政治的対立は限られた時間と労力を奪う不毛なものだと考えていますが、政治的分断を生まないために重要なのは首長のバランス感覚です。武井区長の誠実な人柄とバランス感覚は、誰もが認めるところですが、所信表明でも社会的・人道的に誠実な政治感覚が見て取れ、安心いたしました。不幸なエレベーター事故の教訓からの徹底した安全・安心施策、環境への配慮、障害者や外国人など、社会的マイノリティに対する誠意、財政規律を守り誠実な行政運営をしていこうという姿勢、地元高齢者たちのこのまちに住み続けたいという希望にできる限り寄り添おうとする意思、そして、何より子育て層の女性たちが置かれている大変な状況に共感を示し、港区で子どもを生み育てられなくて、日本のどこできるというのかと明言され、思い切った子育て支援にかじを切ってくださったことに感謝するとともに心強さを感じています。  国の若年層への支援、育児支援政策のおくれが深刻な人口減少を引き起こし、日本が危機的な状況にあることがやっと大きな社会問題として捉えられるようになりました。しかし、対策はなかなか進みません。経済が縮小する中で都心回帰の流れはとまらず、再開発により都市改造が進む港区には、日本中が深刻な少子化に見舞われる中、子育て層が急増し続けています。  平成十八年から始まった子育て層の急激な流入は、当初は社会増の現象でしたが、子育て支援を思い切って手厚くした結果、昨年の二十三区での合計特殊出生率が江戸川区と並んで一位となりました。これは武井区政が日本に誇る大きな成果であり、子育てするなら港区は、今では立派に社会的な認知を得ていると思います。子育て層が全国から都心に集中する中で、都心での出生率が上がらなければ、人口減少に歯どめがかかりません。全国一の財政力を誇る港区はその大きな使命を負っています。本当に誰もが安心して子育てできる環境をきちんと整備し、出生率を上げ、港区生まれ、港区育ちの子どもたちが日本の未来を背負っていけるように誠心誠意取り組んでいただきたい。私たちも全力で協力していきたいと思っています。  一方で懸念していることもあります。一つは四期目の挑戦で、世に言う多選の域に入ってくることです。政権が長く続けば、それだけ権力基盤は強固になり、政治家が保身に走ることで政治が堕落しているのは世の常で、多くの人が懸念するところでもあります。武井区長が皆に支持されている神髄は、私欲ではなく、常に公平公正な社会理念を貫こうとしている政治姿勢が評価されているものと感じています。また、地方政治に地方政治的対立は不毛と私は考えますが、国政の議院内閣制と地方政治の二元代表制の制度の違いを、実は多くの人が認識していません。区民から政治に緊張感がないという批判は当然生まれてくるでしょうし、行政と議会がともに情報を公開し、議論のプロセスを区民に見せていくこと、幅広い層の区政参画を促していくことで理解を得ていくことが一層重要になると考えます。  二つ目は、地方分権が進み、国に財政的な余力がなくなった現在、地方自治体が負う使命と責任の重さはかつての比ではなくなったことです。これまでのような国の下部組織という位置づけや、港区という行政単位の枠だけで見ていれば済むものではなくなっています。世界都市と港区が同位置で張り合っていかなければならない時代にあり、今や日本一の富と人材が集中している港区が、日本を牽引していかなければならないポジションに立っています。その港区のトップであるということは、慎重で正確さを求められる行政マンである以上に、政治的リーダーとしての柔軟性やスピード感、発信力が一層求められてきます。  私は、この四年間の武井区政を見ていて、そうした点が着実に進んできたことを感じています。特に、昨年十一月に素案が出された港区まち・ひと・しごと創生総合政略には国際的な視点、日本を牽引していかなければならない自治体の使命感がしっかりと組み込まれ、データに基づく都市戦略計画があり、五つの重点課題も的を射たものであり高く評価しています。三期十二年で固めてきた信頼と実績をもとに、四期目は新しい港区を思い切って大きく飛躍させてほしいと願っています。  三つ目は、区の構造が再開発で大きく変わり、新住民の急激な流入、子育て層の急増が起き、都市の大改造が起きていることです。地方議会は中選挙区制や大選挙区制をとっており、一定の支持を集めれば当選できることから特定の団体の支持で当選しやすく、町会・自治会などの古くから住む住民組織の方を向きがちであることは、とみに指摘されるところです。しかし、これだけ新しい住民層が一気に増える中、組織化されず、政治的な力を持ちにくい新しい住民ニーズをどれだけ酌み取り、耳を傾け、新しく生まれる地域の課題に正面から応えていくかということは、正しい区政運営を考える上で最も重要なことだと考えます。まちを支えてきた高齢化する旧住民と若い新住民を融合していく政策をとっていく必要があります。それが私たちの会派が最も懸念するところであり、区長の公平公正な政治姿勢に強く期待するところでもあります。  質問に入ります。  行政運営についてお伺いします。  行政需要の急増と事業整理の必要性についてです。区の財政運営は堅実です。歳入の根幹をなす特別区民税収入は、平成二十六年度決算で三年連続の増収となり、ここ数年、六百億円を超える額で安定的に推移し、今後も人口や所得の増加に伴う増収が見込まれています。貯蓄にあたる基金残高も一般会計予算に匹敵する千二百億円規模の額を維持しています。一方で、人口は急増しており、この五年間で約四万人増え、現在は二十四万人を超えています。区の推計でも、この先二十年、人口は増え続ける予測で、三十万人を超える見通しです。特に、ゼロ歳から十四歳の年少人口の伸びは著しく、出生数はこの十年で二倍以上に増加、平成二十六年の出生数は二千八百五十四人で、前の年に比べて二百三十三人も増えています。子育て層のニーズはまだまだ続く見通しです。また、六十五歳以上の老年人口は現在約四万人ですが、五年ごとに約三千人増え、四十年後には二倍の約八万人に迫る勢いで、こちらも介護の受け皿の不足が懸念されています。膨らむ行政ニーズに応え毎年度新規事業が増えていき、平成二十八年度も新規で三十一事業増える計画ですが、平成二十七年度の事務事業評価で廃止となった事業は二事業だけです。義務的経費で人件費の占める割合が高いことから、区では行政のスリム化を着実に進めており、区職員数は、平成二十七年度当初で二千百十九人、平成十八年度と比較して二百六十一人削減しています。しかし、急激な人口増により行政需要が膨大に膨れ上がっていくことが予測される中では、職員数削減にも限界があると思われます。  また、一般会計予算と同規模の千二百億円近い基金を積みながら、区民サービスを整理縮小していくのは区民の反発も予想され、政治的に非常に難しいという問題を抱えているようにも思います。区長の諮問機関など、第三者機関に審議をしてもらい、説明責任を果たしながら事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めていく危機管理も必要ではないかと考えますが、膨れ上がる事業数への対応について、どう考えているか、区長の見解をお伺いします。  次に、新たな港区財政運営方針の策定についてお伺いします。  区長は所信表明の中で、「先行き不透明な経済情勢の変化や、自然災害など突発的な事態にも柔軟かつ万全に対処し、また人口増加に伴う多様な行政需要や課題には迅速かつ的確に対応できるよう、新たな財政運営方針を策定する」と表明されています。新たな港区財政運営方針にはどのような新しい視点を盛り込んでいくのか、区長のお考えをお伺いします。  次に、税収入の分析についてです。  最近、「23区格差」という本がベストセラーになっていますが、本の帯に「二十三区で所得水準一位は港区九百四万円、最下位は足立区三百二十三万円」と大きく書かれているため、気になって手にした港区民も多いと思います。この本の中で、港区は自治体通信簿では最高ランクのAクラスに位置づけられており、発展要素が集まる東京のかなめとして紹介されています。そして、港区は「東京ドリームをかなえた人たちによる東京」という分析結果になっています。実際に富裕な子育て層を大きく取り込み、人口も税収も増え続けている港区でありますが、所得階層の高い二割の層が区税収入の七割を支払っているという構造は、この巨大な人口流入の現象が起きる以前から指摘されていたことだと思います。  区の財政は特別区民税収入が歳入の根幹をなしているため、裁量の自由度も高い一方で、景気の影響を大きく受けやすいという特徴を抱えています。区の高所得者層に大きな変化があるのとないのとでは今後の区政運営の戦略も変わってくると思うため、より詳細な分析が必要だと考えますが、区長はどのようにお考えでしょうか。  次に、オープンデータの取り組みについてお伺いします。  少し前に出版された「デモクラシーを〈まちづくり〉から始めよう」という本の中で、都心の高層マンションのセキュリティが非常に厳しく、アメリカで流行したゲーテッドタウンのようだという指摘があります。ゲーテッドタウンとは、住宅地を高い塀で囲ってしまい、出入り口に検問所を設けて外部からの出入りを制限している集落で、治安維持のメリットがある反面、コミュニティを分断するデメリットがあるとされています。そして、都心では町会・自治会が高齢化し、コミュニティが希薄化する中、新しい地域コミュニティをつくろうとする動きがあるが、交流をするだけではコミュニティを生み出すことは不可能で、同じ情報を共有し、同じ課題意識を持った集団でなければ機能するコミュニティはつくれないという趣旨のことが書かれています。  区では、みなとタウンフォーラムのような政策決定の過程に区民参画を進めていく取り組みが進められており、非常に重要な事業だと考えています。公募区民だけでなく、無作為抽出により区民の参加を呼びかける方式に改善してくださいましたが、本当に困っている当事者たちは、そこに集まることが困難なケースも多いです。当事者以外の人たちの思い込みが重要な政策に反映されてしまう懸念も残ります。区政にかかわる正しいデータを収集、分析し、わかりやすい形で公開していくこと、区政とのつながりの薄い新しい住民の意見を吸い上げる新しい情報伝達の方法を開発していくことが非常に重要だと考えています。  地方自治体による都市経営が重大な意味を持つようになった今、緻密なデータ分析に基づく戦略と、情報公開による説明責任を果たし、地域に民主主義をしっかりと根づかせ、透明性の高い公平公正な地方政治を実現していくことが非常に重要な意味を持つと考えるからです。こうしたことを実現するためにも、まずは区が持っている膨大なデータを民間に広く活用してもらい、区民への有用な情報提供を行うオープンデータの取り組みもあわせて積極的に推進してもらいたいと考えますが、区の今後のオープンデータの取り組みについてお伺いします。  先日、先進的なオープンデータの取り組みで有名な福井県鯖江市で開催されたオープンガバメントサミット2015in鯖江にパネラーとして参加してきましたが、自治体の観光アプリを開発している事業者たちから、港区の部分が作成できていないので、早くオープンデータを進めてほしいと催促されました。  また、鎌倉市では、市のオープンデータを使って職員人件費がわかりやすく示されるアプリをNPOが開発して公開したところ、皆が高い人件費に納得し、人件費削減が進んだと市長が発表されていました。港区でも区のオープンデータをNPOや大学と協力し、区民が手にとりやすい形に情報を加工してもらうことで、本当の意味での区民への情報公開、情報共有が進むとよいと思っています。  次に、防災対策についてです。  先日の日経新聞の報道で、二十三区では総人口の転入が転出を六万八千九百十七人上回り、前年に比べて八%増えたことが報じられていました。転入者は都内からが四七%を占め、特に千代田、中央、港の都心三区は、転入者の五〇%前後が二十三区からの異動となっていて、全国から東京都へ、都内ではより都心へと人が動いているということです。先ほどの「23区格差」という本がベストセラーになるように、住む場所を変えていく若い世代がどこの自治体に住むのかをさまざまな基準で選んでおり、人をたくさん引きつけられる自治体が活性化する時代です。この本の中でも、かつて自治体はこぞって定住率を上げることを目標にしていたが、今は流動性が高い方が勝つ時代なのだと結論づけています。  港区の定住率は二〇一〇年二九・二%で、二十三区の中では最下位の中央区に次いで下から二番目です。また、まちの価値は緑の多さであったり、景観であったり、福祉の手厚さであったりいろいろですが、安全性が一つの重要な指標になっています。区では安全・安心を最重要課題として、これまでさまざまな取り組みを進めてきており、区内の刑法犯認知件数も着実に減少しています。所信表明にあったように、みなとタバコルールのさらなる推進や客引き行為等を禁止する条例制定など、一層力を入れていってくださることを期待します。  さて、首都直下地震の危機が迫る中、区では港区防災対策基本条例の施行、帰宅困難者対策の充実、災害時の医療対策、情報伝達対策などさまざまな取り組みを進めています。一方で、都心区では特に高層マンションの防災対策が懸案事項として指摘されています。エレベーターがとまり、生活インフラが一カ月近く回復しないケースも想定され、高層階の住人たちはその間どのように対応していくのかという懸案です。  後に述べさせていただきますが、高層マンションは自治会の設置要件が厳しいなどの事情もあり、共助も進みにくいという構造的な問題もあります。マンションに防災アドバイザーを派遣するなど、精力的に活動してくださっていますが、こうした高層マンションの防災対策の区内の進捗状況と見通しについてお伺いします。
     次に、行政組織についてです。  区民の相談・要望に寄り添った対応ができる態勢についてです。区が人件費の削減などを着実に進めていることは評価しています。しかし一方で、公務員が担った方がよいような業務が民間委託されているケースも見受けられます。例えば、学校カウンセラーの事業者を入札で業者選定したことで、時間外業務の問題などが発生しています。事務的な部署については、民間委託を進めることはよいと思いますが、教育や福祉など、人とかかわる分野で、かつ高い専門性が必要とされる分野に民間委託を推し進めていくことは弊害もあると感じます。そして、今後ますます福祉分野の行政需要が急増することが見込まれます。政策の集中と選択が必要なように、部署の人員配置にも一層の集中と選択を進めるとともに、区民の相談・要望に寄り添った対応ができる態勢が必要と考えますが、区長のお考えをお伺いします。  次に、職員の人材育成についてです。  職員配置をこれまでの四年間から五年間に延長し、専門性を高めるための改善が見られることを評価しています。より職能にインセンティブをつけるなど、本当に一生懸命やっている能力の高い人材のやる気を損なわない人事制度が必要だと考えています。  また、近年、区が外部との交流を拡大していることを高く評価しています。例えば、防災における帰宅困難者対策で区内の企業と連携を図ったり、最近では産業振興の分野で大使館と連携を図ったり、文化事業者との連携を図ったりなど、非常によい流れが生まれていると思います。大企業と中小企業のマッチングや、学生と区内中小企業とのマッチング、地方都市との交流、区役所・支所改革による地域との交流など、区の高いポテンシャルを生かすには、民間との積極的な交流が絶対に必要です。そうした蓄積を今後の政策に生かし、交流を拡大していってほしいと考えますが、区長の考えをお伺いします。  また、これは要望ですが、国際都市・港区の都市戦略を考える上で国際化対応は欠かせません。リオデジャネイロオリンピックパラリンピック競技大会の現地視察は絶対に必要だと思いますし、職員の海外留学なども積極的に推し進めることで、世界の視点から今の港区に必要なものを見極めたり、国際感覚を身につけたり、語学力を上げたりといったことをぜひ進めていってほしいと思っています。  次に、職員のワーク・ライフ・バランスについてです。  人口減少問題に真摯に取り組むことを表明した区を高く評価しています。少子高齢化を食いとめるために必要なのは、保育園増設などの子育て支援のほか、働き方の改革と男女共同参画が必要であることは、社会の共通認識として定着してきました。子どもを産むことで女性のキャリア形成が阻害されることを避けなければならないし、そのためには男性の育児休暇取得、育児協力や、女性の管理職登用を進めるクオータ制などを区が率先して進めていかなければならないと考えます。区全般の効率化を進め、長時間労働を率先して改めていくなど、一層のワーク・ライフ・バランスの推進が必要と考えますが、区長の考えを伺います。  次に、結婚から育児までの切れ目のない支援についてです。  子育て支援について要望です。区では人口減少問題に対応するため、結婚から育児までの切れ目のない支援を目指してくださり高く評価しています。保育園の定員は、区長在任の十二年間で約三・五倍に拡大され、ピーク時には二百七十四人いた待機児童数も昨年四月には三十人にまで減少しました。新米ママ健康相談、産後デイケアの拡充など、産前産後の切れ目のないケアも精力的に進めてくださって本当に感謝しています。毎日のように全国で起きる幼い子どもたちの虐待死事件が報道されていますが、区でも虐待の相談件数は増え続け、深刻な事態です。  私も産後うつで周囲のサポートもなく、大変な状況にある母親からの相談をよく受けますが、緊急一時保育を含め保育園が、地域とつながっていない母親たちの最大のセーフティネットになっています。待機児童をゼロにしてほしいと願っています。  また、保護者たちにとって切迫した問題であった病児・病後児保育不足の問題にもスピーディーに対応していただき、長年の要望であった認可外保育施設に対する助成にも踏み切っていただけるとのことで、多くの保護者がこれで救われると思います。「これで安心して、もう一人産める」という声は実際に区民の方々からいただいています。  一方で、区立幼稚園の三年保育に抽選漏れする子どもの数は、昨年度大幅な定員拡大をしてくださったことで百二人まで減少しましたが、今年度は人口増に伴い、また百五十人にまで膨れ上がりました。私立幼稚園受験の加熱にも歯どめがかかっていません。今でも毎年多くの保護者から「全部落ちてしまったけれど、一年間どうやって過ごしたらいいか」、「とても立ち直れない」という相談が多数寄せられます。幼稚園の分園設立も計画に上がっていますが、それで実際のニーズに見合うのでしょうか。保育園も幼稚園も同じ港区の子どもたちの行き場として、双方で協力しながら効率的な計画を進めてほしいと切に願っています。保育園型の認定こども園を前倒しで増設していくなどして、区立幼稚園の三歳児クラスに漏れてしまう子どもたちの受け皿をつくってほしいと切に願います。  また、保護者の多様な働き方に合わせて、保育園では夜十時まで預かる園があります。その家庭の状況は変わらないまま小学校に上がっていきますが、学童クラブはそこまで整備されていません。学童クラブに児童見守りシステムが導入されることを大変ありがたく思っていますが、それは学童クラブに所属しない放課GO→の利用児童を持つ保護者からも要望があり、また区立小学校の児童全員に配られている防犯ブザーについても、GPS機能がついたものや見守り機能がついたものへの改善が強く求められています。別々で導入すると余計な経費がかかるため、両方を統一した方が効率的です。  国が子ども家庭省を新設するなど、文部科学省と厚生労働省の子ども機能を統合させるべきであり、そこに問題があるのは明白ですが、千代田区のように保育園と幼稚園の部署を統合させて縦割りの弊害をなくしている自治体もあります。港区でも両方の部署を統一することができる庁内体制の見直しが絶対に必要だと考えます。  質問に移ります。所信表明にある出会い応援プロジェクトですが、出生率を上げるために若い世代が結婚、子育ての機会に恵まれるよう応援していく事業は、少子化対策としてさらに一歩踏み込んだもので、興味深く思います。ただ、実際には、都心部の多くの女性が高齢出産になる理由に、キャリアを形成してからでないとキャリアと育児の両立が困難になるという事情があり、また未婚率が高いと言われる実家暮らしの独身男女も出会いの応援があってもよい対象と思いますが、年齢層は四十歳を超える団塊ジュニア世代に多いと思います。企業文化の改善に取り組むことや、若年層カップルが結婚する際に住宅手当てを支給するなど、何か一工夫必要な気もしますが、どのようにお考えか、区長の見解をお伺いします。  次に、教育についてです。  国際バカロレアについてお伺いします。  国際バカロレアのスコアを用いた特別入試、国際バカロレア入試を導入する大学が増えてきています。筑波大学や岡山大学の全学部で国際バカロレア入試が導入され、昨年九月に公表された国立大学協会の国立大学の将来ビジョンに関するアクションプランでは、入試改革として二〇二一年までに入学定員の三割を推薦入試、AO入試、国際バカロレア入試などの枠とすることが掲げられました。今年度は東京大学、京都大学で、来年度からは千葉大学や大阪大学などで国際バカロレア資格での入試が始まります。  また、二〇二〇年からはセンター入試の内容が国際バカロレア教育に準じたものになるとも言われ、それに伴い、初等教育、中等教育の内容も変更が求められていくであろうと言われ、先日の私立幼稚園PTA連合会の講演会でもそのような話がなされ、多くの保護者が関心を寄せていました。  こうした国を挙げての大きな変化の中、多くの自治体が公立での国際バカロレア中高一貫校の設立を目指し、調査研究を開始している中、全国一国際バカロレア校のニーズが高く、外国人生徒や多国籍家庭の子どもが多いことから必要性も高い港区でも前向きに本格的な調査研究を開始していただきたいと考えます。国際バカロレア認定校のプログラムと学習指導要領との整合性や、指導できる教員の確保など、検討すべき点が多いという答弁をいただいていますが、そのような点についても、実際に検討を進めていくことで、クリアになってくる課題だと思います。私立誘致という方法も考えられます。国際文化芸術担当で、区内の外国人世帯へのアンケート調査が開始されると伺っていますが、そうしたニーズ調査なども参考に、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。教育長の見解を伺います。  次に、インクルーシブ教育についてです。  ことし四月からの障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法の施行で、合理的配慮が求められるようになることもあり、保護者の間ではインクルーシブ教育の推進を求める声が非常に高まっています。二年前、日本は国連の障害者の権利に関する条約、いわゆる障害者権利条約に批准しました。障害者権利条約は、差別の撤廃を目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての措置をとるとあり、完全なインクルージョンを理念としています。専門家の解釈によると、子どもを既存の学校に合わせるのではなく、子どもが適切な教育を保障されるために学校を変え、教師を変え、周りの子どもたち、親、地域の人たちの意識を変えるのがインクルージョン教育というものです。  四月から障害者差別解消法が施行されますが、合理的配慮についてはどこまでが合理的配慮にあたるか、どこまで努力できるかなど、解釈をめぐって、保護者と教育委員会の意見に隔たりが生じてしまうのではないかと懸念されます。ただ、国連の障害者権利条約に批准している以上、共生社会に向けたインクルーシブ教育システムの構築を推進していくべきと考えます。心のバリアフリーを推進するためには、障害のある子どもとない子どもが幼少期からともに過ごす経験が何より必要で、大人になってからでは理解が進みにくいものです。障害のある子どもも特別支援学級、特別支援学校と分けずに、通常学級で一緒に過ごせるよう教育委員会は最大限の努力をするべきだと思います。  また、保護者は、一度特別支援学級や特別支援学校に入ったら、もう通常学級に入ることは難しいと感じ、進学先や就労などについて、状況もよくわからないため不安を感じるのだと、多くの保護者たちの話を聞いていて思います。実際に区でも、特別支援学級から通常学級に移るケース、特別支援学校から特別支援学級に移るケースはごくわずかです。子どもの可能性を伸ばす指導の充実、保護者への転学制度や進学、就職など、将来が見通せる情報の周知も必要だと思います。  例えば、文京区の区立小学校のように、特別支援学級の子どもたちが朝礼や給食、昼休みなどは原則通常学級で過ごし、特別な支援が必要な授業の際には別の教室に移動するなどの制度が整備されれば、そのような排除の圧力を感じることなく、インクルーシブな環境の中で適切な支援を受けられるのではないでしょうか。  四月からは港区の全区立小学校で特別支援教室が開設され、個々の児童の特性に応じた指導が展開されますが、この教室の運営に関する環境整備や巡回指導教員の資質向上が求められます。ただ、特別支援教室は知的障害がないことが条件となっています。特別支援学級や特別支援学校も通常学級と分離されない、ともに過ごせる環境をしっかりつくっていくべきだと考えます。区のインクルーシブ教育の考え方、方向性についてお伺いいたします。  次に、就学相談における保護者との合意形成についてお伺いします。  特別支援学級、特別支援学校判定でも教育委員会の判定を受け入れず、通常学級を望む保護者などから就学相談に関する陳情が相次いでいます。就学相談に際しては、保護者の希望が尊重されることになっていますが、実際にはさまざまな面で、保護者が差別的に扱われていると感じる対応が見受けられ、教育委員会から受けるプレッシャーやストレスも非常に大きいものと思われます。  就学相談については、支援が必要な児童・生徒には一人ひとりの支援計画など、その子どもにかかわるチーム全員が情報を共有し、その子どもの発達のために何が必要かを建設的に話し合っていくという丁寧な対応が必要だと感じます。丁寧な話し合いのはずが、そうした具体的な判断材料を欠いた双方のかみ合わない協議が頻繁に行われることになるのは、当の子どもにとってかわいそうな結果になりかねません。どのような形で保護者との合意形成を図っているのかお伺いします。  特別支援教育の充実のためには、全ての教員や学習支援員、特別支援教育コーディネーターが保護者と十分に情報を共有し、保護者の意向に寄り添うことが大切です。子どもにとってよりよい支援を実現させるよう、さらなる連携の充実と保護者との合意形成の実施を求めます。  次に、障害者差別解消法の施行に伴う障害児保育の拡充についてお伺いします。  四月の障害者差別解消法の施行にあたり、区でも職員対応などに関する港区障害者差別相談委員会を庁内に設けるなど、職員対応に関する要領の制定に向けて積極的に取り組んでいく姿勢を見せていることを評価いたします。  先日、保健福祉常任委員会で、別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例を制定した大分県別府市の視察に行ってきました。別府市では、障害者やその家族が差別や虐待と思われる事案を市に相談することができ、申し立てがあった場合には、必要があれば弁護士などからなる別府市障害者差別等事案解決委員会に諮問し、委員会が適当と認めたときは、市長が助言またはあっせんを行うという仕組みができていました。区民が広く相談でき、解決にあたる機関は今後必要になってくると考えます。  また別府市では、障害者の親亡き後の問題を解決する総合的な施策を策定することにしており、総合相談窓口の開設などの検討を進めていました。こうした障害者の保護者が最も心配している親亡き後の問題に、一歩踏み込んだ政策を展開してくださることを要望します。  質問に入ります。区では、保護者の請願などを受け、区内保育園での障害児受け入れを積極的に進めてくださり、大変感謝しています。居宅訪問看護事業も開始し、医療的ケアが必要な障害児を受け入れるための保育園設置などについても検討を始めてくださり、前向きな姿勢を見せてくださっています。ただ、保育園での医療的ケア児の受け入れを進めるにあたり、さまざまな課題があることも事実です。その大きな課題の一つが、国が医療的ケア児の受け入れは地方自治体が責任を持って実施することとしているにもかかわらず、地方自治体や保育園現場ではその責任をなかなか引き受けることができず、資格も技術もある看護師が配置されても、現実には医療的ケアを行わせることができない状況があることです。医療的ケア児を受け入れる責任を、株式会社などが運営する私立認可保育園に引き受けてもらうことは難しく、やはり公立保育園で責任を持つのが公の使命ではないかと考えます。  川崎市がことし四月から、市内全七区に一園ずつ公立保育園をセンター園として位置づけ、医療的ケア児の受け入れを始めることを発表しました。センター園には看護師が配置されていますが、さらに市立病院で一日程度研修をした看護師と、介助員としての保育士も配置するという手厚い体制を整備するそうです。障害のある子どもが遠い園に通うにはさまざまな制約を受けることからも、港区でも各地区総合支所ごとに一園ずつこうしたセンター園を配置していただけると、医療的ケアが必要なお子さんも安心して保育園に通えるようになると思います。こうした医療的ケア児を区立認可保育園で受け入れる体制をしっかりと整備していただきたいと思いますが、区長の見解をお伺いします。  次に、マンション自治会の設立支援についての要望です。  町会・自治会の高齢化も進み、区民の九割以上が集合住宅に住む現状では、町会・自治会以外の新しい協働の担い手を育成していくこと、新しい協働のあり方を構築していくことは喫緊の課題であると考えます。区では、子育て支援員の育成事業を始めたり、港区シルバー人材センターに放課GO→クラブの見守りをお願いしたりと、さまざまな形で世代間交流、新しいコミュニティ形成につながる取り組みを始めてくださっています。また、港区に流入してきた新住民の方々や企業も区の事業に積極的にかかわりたいという意欲を感じます。  マンション自治会の設立支援についてですが、特に芝浦港南地区には高層マンションが急増し、こうしたマンション自治会の設立にはさまざまな課題があります。地域の課題は地域で解決する、このスローガンは、区長が進める平成十八年四月の区役所・支所改革以降の区の基本方針です。区民が地縁組織である町会や自治会に加入し、地域のために活動するにあたり、この方針に基づいて港区町会等補助金交付要綱による区から交付される補助金は、地縁組織の活動の重要かつ貴重な活動資金となっています。この補助金が支給される町会や自治会の支給基準については、その居住形態によって大きな差があり、かねてより集合住宅に住む区民から改善の要望がなされてきました。その声を受け、区が平成二十五年度に策定した港区区民協働ガイドラインの中で、町会・自治会への支援要件の見直しを掲げ、平成二十七年四月一日から五百一世帯以上の集合住宅への補助金に関しては、三百七十五世帯以上の世帯の加入があれば、補助額は減額されるものの、補助金が支給されることになりました。  しかし、区内の集合住宅の大半を占める五百世帯以下の集合住宅に対しては今までのままであり、集合住宅で自治会活動をしている大半の区民には補助金が支給されていません。そして、補助金が支給されていない自治会が不公平だと感じる最大の要因は、補助金の支給要件に集合住宅世帯数の最小制限がないことです。例えば、四世帯の集合住宅であれば、わずか三世帯の参加で四分の三以上の世帯の加入要件を満たすことができます。実際にこのような小規模集合住宅の自治会があると伺っております。これでは、小さい集合住宅の自治会はつくりやすく、区において大半を占める五百世帯以下の集合住宅では自治会がつくりにくい仕組みであると言わざるを得ません。  小規模自治会が乱立することがよいとは思いませんので、百世帯程度の最小制限をかけた上で、町会も自治会も補助金の支給条件を全て同じ二分の一にしてはいかがでしょうか。区民の九割以上が集合住宅に住んでいることを考えると、現在の仕組みは余りにも公平とは言いがたく、早急な改善を求めます。  次に、湾岸部におけるまちづくりについてです。  大規模な再開発が進む区で歴史的建造物を守り、美しい景観を守っていくことは非常に重要な取り組みです。昨年末、建築物に対してきめ細かな景観の誘導が図られるよう、港区景観計画の内容を大幅に拡充してくださったことを高く評価します。東京タワーの眺望を守るための周辺建築規制もでき安心いたしました。一方で、湾岸部のまちづくりについては、港区景観計画の中で「水辺を活用した観光まちづくりの取り組みや、観光資源としての水辺再生に向けた取り組みなど、水辺空間の魅力向上を進めていく必要があります」とされていますが、まだまだ力を入れていく余地が十分にあるように感じています。  東京都では、平成二十八年の東京都知事の所信表明演説において、「舟運を活性化することで、手軽に使える都民の生活の足、そして、外国人を引きつける観光資源へと育てる。また、船着場においても、日の出や竹芝に周辺のにぎわいと一体となった拠点を整備する」との方針を表明すると伺っています。  区の水辺である日の出や竹芝にフィッシャーマンズワーフのようなにぎわい施設がつくられ、水上タクシーなど、多様な水上交通が盛んになることは喜ばしいことです。しかし、東京港における最大の観光地は台場です。しかし、台場には定期船の観光桟橋が一つあるだけで、東京都が進める水上タクシーなどの旅客不定期航路事業船は、台場へ着岸することができません。  区では、平成二十三年度に策定した第二次港区観光振興ビジョンにおいて、既に台場の新たな観光桟橋の設置の必要性について記載しており、五年たってやっと時代が追いついてきたのだと思います。今後、お台場レインボーバスの運行を継続するためにも、台場地区のさらなる観光振興策は課題です。東京都が進める舟運の活性化という大きな流れの中で、東京港最大の商業施設を抱える区として、ぜひとも台場に新たな観光桟橋設置の検討を進めていただきたく強く望みます。区長のご意見を伺わせてください。  次に、自治体間連携についてです。  国の地方創生を受けて、区は港区まち・ひと・しごと創生総合戦略の素案を発表し、その内容を高く評価しています。柱の一つに区と全国各地の自治体の共存共栄を目的とした自治体間連携を掲げ、東京対地方の対立と捉えず、ともに連帯していくという発想は非常によいものだと考えます。その発想の根底には、区長が所信表明で述べられているような東日本大震災の際の自治体間の助け合いの経験や、みなと森と水ネットワーク会議で着実に進められている環境問題を通じた自治体間のつながりの深化などがあると思いますが、地方創生、つまり、地方の人口減少や成長力の確保などにどのような形で寄与していくことを想定されているのでしょうか。どのような理念のもと、どのような効果を期待しているか、区長にお伺いします。  最後に、東京オリンピックパラリンピック競技大会の文化プログラムについてお伺いします。  東京オリンピックパラリンピック競技大会の開催まで、あと四年となりました。区長が所信表明で述べられたとおり、オリンピックパラリンピック競技大会はスポーツと文化が織りなす平和の祭典です。国は昨年七月、リオデジャネイロオリンピックパラリンピック競技大会後に、東京オリンピックパラリンピック競技大会の文化プログラムを全国で展開するとの方針を示し、これを踏まえ区は、ほかの自治体に先駆け、昨年八月、文化プログラムに関する取り組み方針を示されました。この取り組み方針では、美術館など、数多くの文化芸術資源が集積する区の特性を踏まえ、区内の団体との連携による取り組みを基本とし、青少年、高齢者、障害者、外国人にきめ細かく配慮するとされています。  子どもたちの豊かな心を育てるために芸術は非常に重要ですし、障害者の中にはユニークですばらしい芸術の才能を持つ人が多くおられることを、社会全体がもっと知る必要があると考えています。また、高齢者や外国人の地域社会への参加促進に文化芸術は大いに役立ちます。このように文化プログラムへの取り組みは社会課題を解決するためにも有効です。文化芸術の集積地である区が質・量の両面において全国を牽引するように、区には積極的に取り組んでもらいたいと願っています。文化プログラムに対する区長の意気込みをお伺いします。  人口が減少し、経済のパイが縮小し、グローバリゼーションで共同体が引きさかれ、格差という対立が目に見える形であらわれるようになった現在です。これをナショナリズムという右傾化する思想で国の統合を図るのではなく、地方自治の現場で大きな目標のための連帯を強めていくこと、具体的には人口減少問題をみんなで乗り越えていくという地方自治体の民主的な取り組みによって、連帯の政治を実現していくことが、区の政治に課された大きな使命だと考えています。そのためには議会の改革も非常に重要で、昨年、議長の強いリーダーシップのもとで開催された初めての港区議会報告会は、議会内の連帯、また議会と区民の連帯を広げていく上で、非常に意義のあるものだったと考えています。  現在、地方政治に課されている使命は非常に重く、地方議会の役割も大変大きなものだと認識しています。行政との両輪の一つを担う議会として、本当に区民のためになる議会政治を目指して、一人ひとりの議員が多くの区民の期待を背負って、選ばれて今この港区議会にいます。それぞれの能力が存分に生かされる議会を全員で力を合わせて一緒につくっていきたいと願っています。  質問は以上です。ご清聴ありがとうございました。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまのみなと政策会議を代表しての清家あい議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、区政運営についてのお尋ねです。  まず、行政需要の急増と事業整理の必要性についてです。区は、行政需要の変化に柔軟かつ迅速に対応するとともに、事業の実施にあたっては、スクラップ・アンド・ビルドの原則のもと、効率的、効果的な執行に努めております。  平成二十四年度から本格実施している事務事業評価では、日々区民と接し、直接事業に携わっている職員が自ら評価を行った上で、客観性や専門性を確保する観点から、外部の学識経験者を含めた行政評価委員会による評価を実施し公表しております。社会経済状況の変化等により、継続の必要性が低下した事業については廃止又は縮小とし、継続とした事業についても、重複する内容についての整理や、区民ニーズの変化を踏まえ内容の見直しをするよう、必要に応じて意見をつけ、類似事業の整理・統合や事業の再構築につなげております。今後とも、事務事業評価を活用し、簡素で効率的な行政運営と質の高い行政サービスの提供を実現してまいります。  次に、新たな財政運営方針に盛り込む視点についてのお尋ねです。  新たな港区財政運営方針は、区を取り巻く状況の変化に柔軟に対応するため、主な視点として次の考え方を盛り込みます。  第一に、突発的な事態への備えです。経済情勢の急激な変化や首都直下地震など、突発的な事態にも機動的に対応するため、積極的な歳入の確保策や緊急的な行政需要にも安定的に対応するための基金のあり方などを検討いたします。  第二に、将来顕在化が見込まれる課題への対応です。人口増加に伴い将来的に見込まれる行政需要やさまざまな状況変化に伴う新たな課題に迅速かつ的確に対応するため、各部門の主体性を高め、より迅速な課題解決を可能とする予算編成のあり方について検討いたします。  次に、税収入の分析についてのお尋ねです。  区はこれまで、全国統一の九段階の所得階層区分による納税義務者数や税額の推移を把握し、特別区民税収入の分析を行ってまいりました。特別区民税収入は、景気や税制改正などで変動する傾向にあり、その動向を分析し、見極めることは財政運営上重要です。所得の高い納税義務者の動向が、特別区民税収入の増減に影響を及ぼしているという港区の特性に着目し、所得の階層区分をさらに細かく分類して、傾向把握に努めるなど、これまで以上に詳細な分析に取り組んでまいります。  次に、オープンデータの取り組みについてのお尋ねです。  区が保有している区政情報をオープンデータとして、加工しやすい形で積極的に公開することにより、行政の透明性の向上、区民サービスの向上、地域の課題解決を図ることが期待できます。一方、複数のオープンデータを重ね合わせることにより、個人が特定されてしまうなどのリスクについても対応が必要です。現在、区では、こうしたリスクへの対応とともに、平成二十八年度の早期に、オープンデータとしての公開に向けて、公開するデータの範囲や方法、利用条件などについて検討を進めております。オープンデータとして公開した後は、オープンデータの普及、利活用を促進するため、区民や民間団体、大学、企業へのニーズ調査の実施や、アプリ作成コンテストのイベントの開催なども検討しております。  次に、高層住宅の防災対策についてのお尋ねです。  高層住宅の防災対策は、各居住者が十分な備蓄をするなどの自助の徹底と、災害時に同じフロアの居住者同士が積極的に声かけをするなど、共助としての取り組みが重要です。このため、区は共助のための組織づくりを目的に、平成二十七年四月に、高層住宅の資器材助成基準をこれまでの六階以上かつ百戸以上から、六階以上かつ五十戸以上に拡大いたしました。助成基準の拡大により、申請件数は平成二十六年度が十件であったところ、平成二十七年度は、これまでに二十八件に増加をしておりますが、対象となる高層住宅は六百棟以上あり、一層の周知が必要と考えております。  区は、職員による出前講座や防災学校などで、家具の転倒防止対策や災害用の備蓄品の準備など、自助の徹底を呼びかけるとともに、専門的な視点で高層住宅の防災組織づくりや避難計画策定を支援する防災アドバイザー派遣制度を活用し、高層住宅の防災力向上を支援してまいります。  次に、行政組織についてのお尋ねです。  まず、区民の相談・要望に寄り添った対応ができる態勢についてです。各地区総合支所の窓口では、印鑑登録証明書等の申請受付や手数料の徴収などの業務を委託することにより、職員が転入時の審査や各種相談といった判断と対応を求められる業務に専念できる対応をつくっております。  また、高度な専門的スキルが求められる生活保護受給者へのメンタル支援に関する業務を委託することにより、職員が生活困窮者に関するその他の相談・支援業務に集中的に取り組める態勢となっております。今後も、職員が直接担うべき業務と民間が有するノウハウやマンパワーを活用すべき業務を見定めながら、区民の立場に立ち、さまざまな要望に的確に応えることができる態勢の確保に努めてまいります。  次に、職員の人材育成についてのお尋ねです。  区は、これまでも区役所・支所改革による参画と協働の取り組みを進め、区民や民間事業者など多様な団体と連携し行政課題を解決することを通じて、職員の人材育成を進めてまいりました。今後も、社会経済状況等の変化に迅速に対応できるよう、民間企業や大使館等との連携・協働をより一層進めてまいります。さらに、行政の中では得られない知識や豊かな経験、コスト意識等を有する民間企業との人事交流も視野に、港区らしい質の高い行政サービスの展開に向けた人材育成に取り組んでまいります。  次に、職員のワーク・ライフ・バランスについてのお尋ねです。  区は、男性職員の育児休業・部分休業の取得啓発や、産休期間中に配偶者の負担軽減を図るために取得できる育児参加休暇を導入するなど、男女が相互に協力しながら仕事と子育てを両立することができるよう、職場環境の整備に取り組んでおります。  また、来年度は超過勤務縮減に向けた新たな試みとして、民間企業のノウハウを活用し、仕事の進め方を抜本的に見直す力を職員が身につけるための研修を導入いたします。今後も、女性職員の登用拡大に向けた環境整備や長時間労働の是正につながる職員の意識改革を進めるとともに、女性職員の活躍をさらに推進する行動計画を策定し、これを公表することを通して、女性の活躍やワーク・ライフ・バランスの推進に向けた区の取り組みを発信してまいります。  次に、出会い応援プロジェクトについてのお尋ねです。  少子化の背景にある晩婚化や未婚化の要因としては、価値観の多様化や女性の就業率の増加などとともに、若い世代の交流や出会いの機会の減少もその一つと考えられます。出会い応援プロジェクトは、若い世代に対して、結婚への動機づけと出会いの機会を提供することにより、将来的な結婚を応援する取り組みです。区内に数多くあるブライダル関連施設や水辺をはじめとした豊富な観光資源を活用し、港区ならではの交流イベントを実施してまいります。この取り組みは、区として初めての試みであり、参加者等の意見も取り入れながら工夫を凝らし、より効果的な事業としてまいります。  次に、障害者差別解消法の施行に伴う医療的ケアの必要な児童の保育園での受け入れについてのお尋ねです。  区は、昨年十二月から医療的ケアの必要な子どもに対して、一対一のきめ細かな保育を行う居宅訪問型保育事業を開始しましたが、この事業の中では、認可保育園等との連携により、集団保育を受ける機会を提供しております。認可保育園での受け入れにつきましては、居宅訪問型保育事業における集団保育の状況などを踏まえて、看護師や保育士などの体制整備や、医療的ケアに必要なスキルの習得について検討を進めてまいります。  次に、観光桟橋についてのお尋ねです。  区は、東京都が昨年七月に設置した水辺空間活用、舟運ワーキンググループに都心・臨海部の自治体として参画いたしました。このワーキンググループでは、羽田空港と都心・臨海部を結ぶ航路による社会実験の実施や地元区と連携した船着場のにぎわい創出など、さまざまな取り組みが検討されております。また、こうした検討と並行して、水上タクシーなどの試験運行も行われております。区では、こうした舟運や水辺空間の活性化に向けた検討に積極的にかかわり、東京都とも連携しながら、観光桟橋の設置も含め、舟運を「水の都・東京」にふさわしい交通手段として定着させるための取り組みを検討してまいります。  次に、自治体間連携についてのお尋ねです。  港区の活力は、人材の交流はもちろん、経済、生活全般にわたり、全国の各地域に支えられ成り立っています。全国各地域あっての港区であり、互いの強みを生かし、足りないところを補完し合って、ともに発展、成長し、共存共栄を図ることが重要であると考えております。港区は、首都東京の中心に位置し、全国・世界に向けての情報発信力や、多くの企業が集積していることが強みです。  新橋SL広場で行う物産店やみなと区民まつりの際には、全国の各自治体から参加希望が寄せられており、自治体PRの場を提供することにより、各地の振興に寄与しています。こうした取り組みを継続的に深めていくことが、各地の雇用の改善や人口減少の歯どめにも役立つものと考えます。  また、区民にとっても全国の情報を得る機会となり、住民同士の交流や、また、区民の方それぞれの生活の幅を広げること、また、産業面での新たなマッチングを生み出すこと、さらには防災対策の充実などについても期待ができます。これまで深めてきた各自治体との連携を発展させていくとともに、新しい港区独自の自治体間連携を創出し推進してまいります。  最後に、東京オリンピックパラリンピック競技大会の文化プログラムについてのお尋ねです。  区は来年度から、これまでの施策をさらに加速させ、関連する団体との連携により、文化プログラムに取り組んでまいります。子どもたちが芸術作品から感じ取ったことを相手に伝える力を育てる取り組みや、障害者のユニークですぐれた芸術作品を発掘し発信するなど、さまざまな活動を展開する文化プログラム発信の中心地・港区として、他の自治体の取り組みを牽引してまいります。  また、文化プログラムの展開を通じて得た成果は、東京オリンピックパラリンピック競技大会閉会後に開設予定の(仮称)文化芸術ホールの事業に結実させ、四年間の取り組みを港区ならではのレガシーとして継承してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕 ○教育長(小池眞喜夫君) ただいまのみなと政策会議を代表しての清家あい議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、教育についてのお尋ねです。  まず、国際バカロレアについてです。国際バカロレアは、世界共通の大学入学資格及び成績証明書を与えるために開発された教育プログラムです。この国際バカロレア認定校となるためには、学習指導要領が定める各教科の教育内容に加えて、国際バカロレアのカリキュラムをあわせて指導していく必要があります。また、指導できる教員を確保するなどの検討すべき課題も多く、認定を受けることは相当な困難が伴うものと考えております。  区では、国際社会に対応する教育を推進するため、文部科学省の特例認可を受け、いち早く小学校一年生から英語を用いた国際理解教育を展開しています。この取り組みは、国際バカロレアの理念である多様な文化の理解と尊重を通じて、平和でよりよい世界の実現のために貢献する人材を育成することと同様の目的を持つものと捉えております。今後、国際バカロレアについて研究課題とし、国際化に対応した教育の一層の充実を図ってまいります。  次に、インクルーシブ教育についてのお尋ねです。
     インクルーシブ教育は、障害のある子と障害のない子とが同じ場所で、ともに学ぶことを通して、共生社会の形成を目指すことを理念としています。区では現在、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を要する児童・生徒に対して、学習支援員による個に応じた支援を行っております。また、通常の学級と特別支援学級の児童・生徒が、遠足や運動会などを通して交流を深める等の教育活動を展開しております。引き続き児童・生徒がその持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加ができるよう適切な教育的支援を行ってまいります。  最後に、就学相談における保護者との合意形成についてのお尋ねです。  区では、特別な支援が必要な児童・生徒の就学相談の際には、本人や保護者の意見を尊重しながら、障害の状況、学校や医師の意見等を踏まえ、就学先を決定しております。  また、本人や保護者の希望に応じて授業の見学や教員等との面談を実施し、特別支援教育に対する理解を深めていただいた上で、保護者の意向を確認しております。さらに就学後においても、必要に応じて保護者と面談等を行い、学習の習熟度などを含めた児童・生徒の状況把握に努め、個々の教育的ニーズに応じた支援を行っております。今後も、本人や保護者の意向を尊重しながら、丁寧な合意形成を図ってまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○副議長(近藤まさ子君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。                                      午後二時五十六分休憩                                       午後三時二十分再開 ○副議長(近藤まさ子君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  一般質問を続けます。次に、六番池田たけし議員。   〔六番(池田たけし君)登壇、拍手〕 ○六番(池田たけし君) 平成二十八年第一回港区議会定例会にあたり、公明党議員団を代表して、武井区長並びに小池教育長に質問いたします。  さて、武井区長が昨日所信表明で述べられたように、昨年十月五日に発表されたノーベル生理学・医学賞では、北里大学特別栄誉教授の大村智氏が、続く六日に発表されたノーベル物理学賞では、東京大学の梶田隆章氏がそれぞれ受賞されるなど、昨年は日本人の相次ぐノーベル賞受賞に沸き立った年でありました。また、本年はアインシュタインが百年前に存在を提唱した重力波が史上初めて観測されるなど、さまざまな分野で大きな進歩を遂げる年になるように感じます。  また、リオデジャネイロオリンピックパラリンピック競技大会が本年八月に開会され、閉会後はいよいよ東京オリンピックパラリンピック競技大会への準備に向けて始動します。区では、トライアスロン競技がお台場海浜公園で開催予定であります。  日本経済に目を向けると、日銀が初めてマイナス金利を導入しました。「これまで行われてきた日本経済を金融政策で下支えするとの明確なシグナルを発した重要な決定である」と、多くの金融関係者が述べています。また、世界の金融・株式市場の混乱や、北朝鮮の核実験に続く弾道ミサイル発射など、日本を取り巻く情勢は厳しく、一国だけの努力では克服困難な課題も多いと考えます。  一方、国政に目を向けると、不倫や口利き疑惑、さらには国立大学費の値上げにおいては、仮定の話を事実のようにすりかえ、若者の不安をあおる虚偽チラシをまく公党など、国民の多くがあきれ果てています。公明党は生活者の目線に立って大局観に根ざした政策立案実現を目指すことを区民の皆様にお誓いし、質問に入ります。  初めに、所信表明についてお伺いいたします。  昨日の所信表明において、武井区長は、区長就任以来、参画と協働を柱に据え、「都心における望ましい地域自治を実行してきた」と述べられ、本年で区役所・支所改革から丸十年がたち、基礎自治体が目指すべき姿を港区から全国へ発信していくとの力強い抱負を述べられました。  区は、平成八年にはバブル経済の影響で、急激な人口減少と特別区民税収入の急激な減収という未曾有の財政危機に陥りました。区民の皆様のご理解のもと、財政運営、事業内容の徹底した見直しや職員定数の計画的削減、港区定住促進基金の創設など、平成九年度から三年間で約百億円の経常的経費の削減し、着実に財政力の強化を図って現在に至っていることを高く評価しております。都区財政調整制度に頼らず、区独自事業を展開し、二十三区をリードできるのは、そのような積み重ねの結果であると考えます。  さて、武井区長は、これまでの実績を踏まえ、平成二十八年度予算において、「安全で安心して暮らせる、夢と希望に満ちた港区の未来を創り上げるための予算」と銘打たれ、発表されました。  そこで、各分野にわたる事業についてお尋ねいたします。  初めに、かがやくまちの分野における安全・安心の強化についてであります。平成二十六年四月、港区暴力団排除条例の施行によって、区内飲食店事業者に対し、暴力団の威力を利用することや、暴力団への利益供与をしないことを区に誓約する全国初の仕組みを構築したことを述べられるとともに、今後は客引き行為等を禁止する条例の制定を目指すと述べられました。  二十三区内では、新宿区が平成二十五年九月に、渋谷区が平成二十六年一月に同趣旨の条例を施行しています。現在、港区では客引きや客待ち等の迷惑行為を防止する啓発員活動を六本木で展開しており、来年度は新橋、赤坂地域に拡大し、その後条例化するとしています。現実は一般来街者の通行に支障を来す等、目に余る状況にあります。このため一日も早い条例化を実現すべきと考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。  次に、防災対策についてです。  平成二十八年度には、港区地域防災計画を改定し、災害時における避難勧告用の発令基準など、新たに策定した区の施策を盛り込み、万全なものとすると述べられました。平成二十六年の区による大雨被害の避難勧告が混乱を招いたことは記憶に新しいところであります。今回の改正にあたって、いかに区民、地域防災協議会、在勤者の皆様とともに避難勧告の基準・情報を共有できるかが重要です。区の今後の取り組みについて、お考えをお伺いいたします。  次に、環境にやさしい取り組みについてです。  区は、みなと環境アプリを開発し、全国初のスマートフォンによる環境情報の取得と環境問題に触れる機会を提供するとしています。こうした取り組みは、いかに多くの方が利用し、宣伝効果を上げるかが重要です。関係団体などとの連携、区民からの情報提供など積極的に進める必要があります。みなと環境アプリの今後の取り組みについて、区のお考えをお伺いいたします。  次に、快適なまちづくりについてです。  所信表明では、「品川駅周辺地区では、JRの新駅構想やリニア中央新幹線品川駅の工事着工を契機に、新たなまちづくりの動きが加速する」、「泉岳寺駅の大規模改修に伴う区民向け住宅の建て替えに向けた基本構想・基本計画に着手する」、「居住者のご理解とご協力を求めるとともに、港区らしい景観と快適な都市空間を形成する」と述べられました。武井区長が目指す港区らしい快適な都市空間とは、具体的にはどのようなものなのか、お考えをお伺いいたします。  次に、にぎわうまちの分野において、観光振興並びに国際化推進についてお尋ねいたします。  所信表明では、「港区は、世界的に知名度が高い歴史的・文化的資源をはじめ、多様な観光資源を有し、国内外から多くの観光客が訪れている」と述べられ、また、「東京オリンピックパラリンピック競技大会に向け、港区を訪れる人はますます増えることから、観光客が快適に滞在できるような取り組みに努める」としています。  さらには、区の人口のおよそ八%にあたる一万八千人の外国人への情報提供が大変重要であるとの認識を示されました。これまでも港区国際交流協会などの関係団体と連携し、観光ボランティアの育成や防災情報、身近な生活情報の提供に努めていることは高く評価しております。本格的に東京オリンピックパラリンピック競技大会の文化プログラムが開始される本年、港区国際交流協会をはじめ、関係団体の役割は大変重要であると考えます。特に、港区国際交流協会の情報発信機能をはじめ、現在の事業内容を一層強化する絶好の機会ではないでしょうか。港区国際交流協会について、区のお考えをお伺いいたします。  最後に、はぐくむまちの分野についてです。  武井区長は所信表明で、「平成十六年の区長就任以来、保育園の待機児童解消を区政の最重要課題と位置づけ、全力で取り組んできた」と述べられました。区立認可保育園の設置や緊急暫定保育施設、私立認可保育園の誘致などで定員数の拡大、待機児童の削減を図ってきたことは高く評価しています。平成二十八年四月には、高輪地域の区有地に私立認可保育園が開設、平成二十九年四月には、東麻布保育室を区立認可保育園に移行、さらに区立しばうら保育園の分園開設が予定されています。  一方、子育て世代の負担軽減策として、既に実施している認証保育所に加え、認可外保育施設に通う場合の保育料の差額助成を開始します。こうしたソフト・ハード両面からの支援策は大変重要ですが、保護者の多くは、自ら居住する地域での子育てを望んでいます。今後の保育事業の充実において、地域格差が生じないよう十分配慮することが重要と考えます。区長のお考えをお伺いいたします。  その他、所信表明にかかわる質問は、予算特別委員会に回します。  次に、将来を見据えた区の財政運営方針についてお伺いいたします。  現在、区は、平成二十三年度に改定された港区財政運営方針に基づき、平成二十九年度までの六年間を対象期間として、磐石な財政基盤の確立を目指し、重点施策への集中的な財源配分と中・長期的な視点に立った財政運営の考え方を掲げ進められています。  その背景には、策定時において、平成二十一年度以降のリーマンショックによる景気低迷の影響を受け、区は人口の増加にもかかわらず特別区民税収入が減少し、また、東日本大震災などの影響により依然として景気動向の先行きが不透明な状況が予測されていました。  区は、こうした財政構造の変化を踏まえ、財政フレームを確実に堅持し、将来需要にも的確に応えていくことや、財政調整基金残高を標準財政規模の四〇%程度確保し、公債費比率を三%以内に維持するなど、次世代に過度な負担を残さない財政の運営方針を掲げ進められてきました。  その後、平成二十四年度決算で、特別区民税収入は再び増加に転じ、以降、人口の増加や景気回復等により増収傾向にあります。今後の区財政も、人口増加に伴う特別区民税収入の増収が見込まれており、とりわけ財政調整基金においては平成二十六年度末の残高が約六百二十三億円と標準財政規模の八割以上を確保、また、公債費比率も二%前後を維持し、経常収支比率は約六四%となるなど健全な状況を維持しています。  一方、先行き不透明な経済情勢をはじめ、平成二十九年四月からの消費税率引き上げによる影響や、首都直下型地震への対応、また、東京オリンピックパラリンピック競技大会を契機とした新たなまちづくりの加速など、想定される財政運営上の課題に迅速かつ的確に対応していくため、現行の港区財政運営方針を平成二十九年度末の計画期間満了を待たず、一年前倒しして改定することを発表されました。  改定に向けた財政運営の基本的な考え方として、現方針を継承しつつ、将来課題を先取りする積極的・戦略的な財政運営を掲げ、先見性ある政策を創造し、誰もが安全に安心して快適に暮らせる港区を実現する財政運営を目指すとされております。言いかえれば、これまでの守りの財政運営から攻めの財政運営へとかじを切っていくものと期待するところです。  そこで質問は、区の将来を見据えたとき、区長が考える区の財政はどうあるべきなのか、また、将来課題を先取りした財政運営をどのように展開していくお考えなのか、改めて区長の見解をお伺いいたします。  次に、特別区都市計画交付金のあり方についてお伺いします。  特別区都市計画交付金のあり方については、事あるごとに定例会で取り上げてまいりました。本来、特別区都市計画交付金は基礎自治体が行う都市計画事業の財源を確保するために設けられているにもかかわらず、いまだ現状は都市計画事業の実施状況に必ずしも見合った配分になっていません。特別区長会においても、毎年、粘り強く特別区都市計画交付金の拡充を求める意見や要望が出されています。  東京都が先に発表した平成二十八年度予算では、前年度と同額の百九十五億円に据え置かれ、都市計画税に対する比率は一〇%未満と、依然として低いままであります。これまでも、特別区都市計画交付金のあり方については、全ての都市計画事業を交付対象にするとともに、都区双方の都市計画事業の実施状況に見合うよう、交付金規模の拡大を図ることを強く提案されていることは承知しております。もともと都市計画税は、その税収をもとに都市計画に伴う需要に応えなくてはならないはずのものであり、特別区都市計画交付金と財政調整算定は密接に関連しているにもかかわらず、都区財政調整制度の中に入っていないことも問題であります。今後、新たなまちづくりに伴う事業が増えていく中、区が行う都市計画事業の貴重な財源を確保することは極めて重要であります。これからも引き続き、特別区都市計画交付金については、都区の都市計画事業の実施状況に見合った規模に拡充し、全ての都市計画事業を対象とするとともに、交付率の弾力化が図られるよう東京都に対して強く要望していくことが必要と考えます。  そこで質問は、特別区都市計画交付金の拡充に向けて、引き続き二十三区がしっかりと歩調を合わせ、粘り強く東京都に対して主張していくことを求めますが、今後、区長はどのような姿勢をもって臨まれていくお考えなのか、お伺いいたします。  次に、空き部屋を旅行者らに有料で提供する民泊の導入についてお伺いいたします。  最近の報道では、日本を訪れる外国人の旅行者数は、二〇一五年では前年比四割増の千九百万人に達しており、今後も増加の傾向が続くとしております。東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年には、外国人旅行者は二千五百万人に達することが想定されており、全国で新たに宿泊施設四万一千室が必要との試算がされています。急激な外国人観光客の増加に対応する政策として、民泊に注目が集まっている理由がここにあります。民泊はお金を取って客を泊める行為であり、国家戦略特区の認定を受けた地域などを除き、本来は旅館業法に基づき自治体の許可を必要とします。  しかし、現在は、法的にグレーと言われつつも、急速な実態が進むエアビーアンドビーなど、一般住宅の宿泊のインターネット仲介サービスは二万件を超える登録数となっております。こうした民泊増加の動きについて、政府は規制改革実施計画で無秩序の状態にある国内の現状に対して小規模宿泊業のための規制緩和策を提案し、二〇一六年までに結論を出すことを昨年六月に閣議決定しております。  また、こうした国の規制緩和策とは別に、国家戦略特区に指定されている大阪府や大田区では、特区の規制緩和を活用して民泊を認める条例を制定しています。こうした背景には、外国人観光客の人気が高い東京、大阪の宿泊施設は連日フル回転し、大田区など、客室稼働率が九〇%を超えた地域も少なくないという現状があります。しかし、空き部屋を利用した民泊については、さまざまなトラブルが発生している現実があります。「見知らぬ外国人が出入りしている」、「共用スペースで騒いでいる」、「セキュリティの確保が事実上保たれない」などが挙げられ、一般居住者とのトラブルが社会問題となっています。  観光客や仕事で日本を訪問する外国人が増えることは、日本経済にとっても歓迎すべきこととは言え、万が一の対策を講じることも重要です。テロ対策、廃棄物処理のルールづくりや騒音に対する対応策、さらには火災などの緊急時対応など、検討すべき課題が多くあるように感じます。国が民泊に対する確かなガイドラインを示し、国民並びに港区民の生活の安全・安心が保たれることを見極めることが何よりも肝要であると考えます。  そこで質問は、民泊について、武井区長のお考えをお伺いいたします。  次に、未利用地になっている区有地の活用についてお伺いいたします。  区外施設の静岡県伊東市の旧伊豆健康学園は、昭和五十四年六月に開園し、区立小学校の三年生以上で、ぜんそく・虚弱などの病弱な児童と教師が学園の寮で寝食をともにし、豊かな自然環境の中、規則正しい集団生活を送りながら健康回復、体力増強を目指す学園でありました。平成十三年三月に当初の事業目的を果たし、六名の卒園生を最後に閉鎖となりました。区外公有地として、跡地活用策を検討する中、地元の伊東市からの活用申し入れとともに、当時の伊東市長が視察をするなどして互いに協議を重ねてきたと聞いております。  しかし、伊東市に施設取得の意向確認をしたところ、本年二月に取得断念との回答があり、活用方法が見えないまま現在に至っている状況にあります。このような未利用地は区の内外を問わず存在しており、こうした土地を現存しておくことは管理費の増大を生むものであり、放火などの犯罪の温床になる可能性も考えられます。区民の意向を伺いながら、安全・安心の観点からも早期に活用方法を示すべきではないでしょうか。未利用地の活用の方向性について、区のお考えをお伺いいたします。  次に、認知症高齢者グループホームの利用者負担の軽減策についてお伺いします。  国の推計によりますと、認知症の高齢者は、十年後の平成三十七年には最大七百三十万人と、実に高齢者数の五人に一人の割合に達するという数字が発表されました。区においても、高齢者人口の増加に伴い、認知症の高齢者が増加することが見込まれます。こうした状況を踏まえ、認知症対策への取り組みは大きな課題となっています。  区では、認知症の予防や早期発見のため、認知症の人や家族などが交流するみんなとオレンジカフェが設置され、認知症を正しく理解してもらう取り組みが進められています。今後、住み慣れた地域で医療・介護・生活支援などのサービスを提供する地域包括ケアシステムの構築を一刻も早く進めるとともに、認知症の人やその家族を支える施策がますます重要となってまいります。  一方、認知症を発症しても家族のもとで生活できることは大変すばらしいことですが、家族が目を離したすきに外出して、そのまま行方不明になるケースも多く、家族の負担は計り知れないものがあることも事実です。こうした中、住み慣れた地域で家族的な環境の中で暮らしながら、介護や日常生活上の世話を行う認知症高齢者グループホームは、認知症高齢者を地域で支える重要な役割を担うことになります。  現在、区では四施設、定員八十一名の認知症高齢者グループホームが整備されています。今後、平成三十年度から平成三十二年度内に二施設、定員五十四名のグループホームの整備計画が予定されております。しかし、認知症高齢者グループホームの最大の課題は、特別養護老人ホームに比べて利用料が高いことです。特別養護老人ホームの場合は、低所得など、一定の条件に該当する人について、ホテルコストに負担限度額が設けられ、基準額との差額が介護保険から給付されるのに対し、認知症高齢者グループホームの家賃は介護保険の対象になりません。  現在、区に整備されている認知症高齢者グループホームでは、家賃、食材費、光熱費等の合計額は平均で約十三万五千円となり、国民年金で生活する低所得者の方の中には、施設に入りたくても経済的な理由で入所を断念せざるを得ない方もおります。こうした状況を踏まえ、東京都では、認知症高齢者グループホームに対する独自の整備費補助を行うなど、利用者の家賃負担の軽減を図っています。また、介護保険法の地域支援事業による低所得者に対する家賃助成の実施を区市町村に働きかけることを検討していくと伺っています。  そこで質問は、認知症高齢者が増加する中、低所得者への認知症高齢者グループホームの家賃助成など、利用者負担の軽減に向けた取り組みを区として検討していく必要があると考えますが、区長の見解をお伺いします。  次に、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法の本年四月の施行を踏まえた区の取り組みについてお伺いいたします。  障害者差別解消法は、全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的としています。区では、あらゆる分野及び施策において全庁横断的に連携し、障がいを理由とする差別の解消に向けた取り組みを推進するとして、区及び教育委員会において職員対応要領を作成されたことは大変に高く評価しているところです。  また、昨日の区長の所信表明にも、障がい者への理解や障がい者の就労支援を積極的に進めるために港区障害者福祉推進基金を創設するとのお話には、多くの期待の声が寄せられています。  これまで、障がい者、そしてご家族の皆さんは、どれほど多くのバリアに悩み、たくさんのことを我慢し、諦め、悔し涙を流してこられたか。それは、障がい者に平等な機会が与えられず、困難に直面するのはその人に障がいがあるからであり、克服するのはその人と家族の責任だとする考え方、いわゆる障がいの個人モデルという考え方に基づいています。願って障がい者となったわけでもない当事者の努力と責任だけでバリアを克服しなればならない場面が多かったからではないでしょうか。  一方、国際的には四十年も前から、社会こそがバリアをつくっていて、それを取り除くのは社会の責務であるという考え方、いわゆる障がいの社会モデルという考え方に変わってきました。障がいがあるから差別されるのではなく、障がいとともに生きることを拒否する社会であるから差別が生み出されてしまうのだという、この発想の転換を、今こそ行政も区民も、そして障がい者を含めたご家族も共有する時代がやってきたのだと感じてなりません。  障害者の権利に関する条約、いわゆる障害者権利条約も、社会的バリアは障がい者でなく、社会がつくり出しているという障がいの社会モデルの考え方によって成立しています。また、障害者基本法第四条でも、社会的バリアを取り除くための合理的配慮をしなければならないと明記されています。しかしながら、日本においては、この障がいの社会モデルの考え方がなかなか定着しませんでした。そのような中、この障害者基本法の理念にのっとり、差別を解消するために国や行政機関、さらに事業者も含めた責務、そして、実効性の確保などをより具体的に定めた障害者差別解消法が平成二十五年六月に成立いたしました。障害者差別解消法の対象となる障がい者は各種手帳保持者だけではありません。何がその人のバリアになっているのか、どのようなことが差別にあたるのか、障がいの多様化もあり、要求される支援もさまざまです。  したがって、何よりも大切なことは、目の前の困っている人に寄り添い、障がいを理由に諦めることのないよう支援していく心、その心を区全体の意思として育て、醸成することが最も重要であると考えます。また、懸念されることは、障がい者への配慮、特別扱いをするあまり、共生の観点が失われてしまうことです。教育の場合においては、全校に特別支援教室を配置し、特別な配慮を必要とする児童を別室で教育することで、ともに育ち合う観点が失われはしないかという不安の声もいただきます。むしろ、同じ学級に在籍することをチャンスと捉えて、小学生時代から共生のすばらしさや人権教育に力を注いでいただきたいと考えます。  そこで、障害者差別解消法の施行を踏まえて、職員対応要領の策定、相談事例などを共有して地域一体で差別解消に取り組む障害者差別解消支援地域協議会の設置といった環境整備と同時に、目の前の一人と向き合うことになる職員の人権意識の醸成も含めた区の取り組みについて、区長、教育長のご見解をお伺いいたします。  次に、高齢者の就労支援についてお伺いします。  今や日本の平均寿命は、男性八十・五歳、女性八十六・八歳となり、人生九十年時代も夢ではありません。また、日本の総人口に占める六十五歳以上の割合は二六・八%を超え、四十五年後の二〇六〇年には約四〇%となる見込みです。今後、高齢化が進むにつれて、意欲ある高齢者が能力を発揮して活躍できる場を増やし、社会の担い手になってもらう生涯現役社会を実現していくことが、超高齢社会を乗り越えていく大きな鍵となってまいります。そのためにも生涯現役で活躍し続けられるように、雇用・就業環境を整えていくことが必要不可欠であります。  平成二十五年四月に改正高年齢者雇用安定法が施行されて以降、徐々に企業における六十五歳までの継続雇用は定着しつつありますが、六十五歳以上の高齢者が働く場所を見つけるのは、依然として厳しい状況にあります。こうした現状を踏まえ、これからも高齢者に働くことを通じて生きがいを与え、地域社会の活性化に貢献する組織としてシルバー人材センターの果たす役割はますます重要となってまいります。  現在、国は働く意欲のある高齢者が働き続けられるよう、シルバー人材センターの機能強化として、労働時間の規制緩和について検討中です。具体的には、これまでの労働時間はおおむね週二十時間、労働日数は月十日に限定されていましたが、拡大される動きもあると伺っています。  また、シルバー人材センターの業務のうち、派遣・職業紹介に限り、平成二十八年度から労働時間を週四十時間までの就業が可能となる予定です。そこで、港区シルバー人材センターもこうした要件緩和の動きに伴い、労働時間の拡大について検討していく必要があると考えます。  一方、生涯現役社会を実現していくためには、労働市場の拡大も重要です。高齢者の多様なニーズに対応していくためには、自治体が地域の経済団体やNPOなどと連携を図り、高齢者向けの仕事を開拓する体制づくりも欠かせません。高齢者が仕事を求めている理由は、「年金だけでは生活が苦しい」、「趣味などを楽しむ資金に充てたい」、「生活の充実や生きがいを求めたい」など、さまざまです。これからも高齢者の活躍の場を広げることは、孤立防止や介護予防にも大変有効と考えます。  そこで質問は、高齢者の多様なニーズにも対応できるよう、港区シルバー人材センターの体制強化支援に向けて取り組んでいく必要があると考えますが、区長の見解をお伺いします。  また、自治体が地域の各種団体やNPOなどと連携を図り、高齢者向けの仕事を開拓する体制や、地域の課題に対応した高齢者の働き方を応援する仕組みづくりも必要と考えますが、区長の見解をお伺いいたします。  次に、都営青山北町アパートの開発整備についてお伺いします。  都営青山北町アパートの建て替えについては、居住者の皆様のご要望をもとに、平成十二年頃から東京都都市整備局への建て替え要請が行われてきました。しかし、東京都は建て替え対象であることは表明されたものの、その後、具体的な計画案が示されることはありませんでした。その後、区に対して、昨年六月二十三日付で公共住宅建設計画案において、都営北青山三丁目団地建替計画概要の提示がなされました。本年一月十九日には、舛添東京都知事が都有地の活用方針等を示した事業実施方針をプレス発表。一月二十三日の都営住宅住民への説明会、二月七日、八日には、渋谷区・港区の周辺住民への説明会開催を経て現在に至っています。  本計画は、都営青山北町アパートの敷地のうち、表参道側の半分を都営住宅建替事業区域と民活事業区域に区分し、住宅系施設や地域の活性化に資する施設が計画案として示されています。竣工は二〇一九年秋を目指しています。また、外苑前駅側の半分とその敷地に隣接する民有地を、沿道一体開発を検討する区域として、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会以降の着工・竣工を目指す計画地域と指定しています。  さて、建て替え計画は大きく二つの工区に分けられ、都営住宅建替事業区域と民活事業区域が、本年秋頃より工事着工いたします。都営住宅建替事業区域では、都営住宅を地上二十階、高さ約七十メートル、三百戸で整備。一・二階に区立認可保育園と児童施設を整備し、区立認可保育園には園庭を配置。その他、隣接地に区立児童遊園並びに広場の整備が予定されています。一方、民活事業区域には高さ約九十メートルの建物を整備。また、サービス付き高齢者向け住宅を併設し、敷地内に広場を整備。両地域の広場並びに区立児童遊園が一体的に整備される計画案が示されました。  昭和三十九年の東京オリンピック開催を契機に、青山通り並びに周辺地域のまちづくりが進められて五十年がたちます。建物の老朽化にあわせ、青山通り周辺の再整備は必然的なものであると思います。しかし、青山地域に生まれ育った住民、事業を続ける事業主の皆さんは、良好な住環境の整備を願っています。このたびの都営住宅建替整備を通して、人に優しい職住一体型のモデル地域を目指していただきたいと思います。  そこで、二点にわたって質問いたします。都営住宅建替事業地域の区立児童遊園や広場などの施設管理は、住民、近隣の安全・安心の観点から適切な管理体制を実施するべきであります。区有施設を設置する区としても、東京都と施設管理について協議すべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、二〇二〇年以降の着工となる沿道一体開発検討区域は、周辺住民の要望、意見を反映した計画となるよう、東京都と協議を進めるべきと考えますが、武井区長のお考えをあわせてお伺いいたします。  次に、屋外広告を活用した屋根付きのバス停留所の整備についてお伺いします。  現在、区内に七路線の地域コミュニティバス、通称「ちぃばす」が運行されており、今ではすっかり地域のルートを結ぶ足として重要な役割を果たすとともに、高齢者の方や乳幼児を連れた若い世代の方などに幅広く利用され、多くの方に愛されています。こうした中、高齢者などのバス利用者からは、待ち時間における雨や強い日差しを避けるため、バス停留所の屋根の設置に関する要望が多く寄せられています。これまで、「ちぃばす」は道幅が比較的狭い道路を走行するため歩道も狭く、屋根のあるバス停の設置が難しいとされていました。また、その設置をはじめ、維持管理の問題についても普及が進まない要因の一つでもあります。  こうした状況を踏まえ、東京都は昨年四月、狭い歩道にも屋根のある広告付きバス停留所が設置できるように、屋外広告の設置に関する規制を緩和しました。これにより車道と平行に広告を表示するタイプの屋根付きバス停留所の設置ができるようになり、こうした広告料で得る収入を屋根の整備、維持管理費に充てることも可能となりました。現在、既に屋根のある広告付きバス停留所が設置されている都内のコミュニティバスの停留所は、墨田区内をはじめ、渋谷区や大田区など、計二十八カ所に整備されています。  そこで質問は、利用者の利便性の向上を図る観点からも、民間事業者を活用した屋根のある広告付きバス停留所の設置を区として促進していくべきと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。  最後に、白金二丁目の旧都職員住宅跡地の活用についてお伺いします。  白金二丁目、目黒通りと桜田通りの交差点に位置する旧都職員住宅跡地の利活用については、地域の方々からもさまざまな要望が寄せられています。この都有地は東京都職員白金住宅として、昭和四十二年から昭和四十七年にかけて敷地面積一万九千七百八平米に四棟が建設されましたが、築年数三十九年が経過した時点で、老朽化とともに、アスベストを使用していたことを理由に、平成十八年に廃止することが決定されました。それ以降、解体されてから今日まで更地の状態が続いており、東京都としても今後の再利用や売却などの方針はいまだに公表されていません。地元、地域住民からは、白金高輪地区の閑静な住宅環境を維持・発展させるためにも、公共性に意義ある活用が強く望まれています。  我が会派もこれまで東京都に対して、この都有地の活用についての考え方を伺ってまいりましたが、現段階での活用方針は決まっていないとのことです。とりわけ現時点で考えられることは、今、国や東京都は東京オリンピックパラリンピック競技大会が大きなテーマとなっています。これだけの土地の規模や交通の利便性、立地条件を備えている場所であることから、今後、東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けての計画が進むにつれて、さまざまな準備が要請された場合にも対応できるよう、東京都として具体的な跡地の活用方針については、その後の検討になる可能性が十分考えられます。  地域の方々から、この都有地の活用については、防災公園として、また、保育園や高齢者の施設など、さまざまな要望が出されており、非常に関心の高い土地であります。いずれにいたしましても、東京オリンピックパラリンピック競技大会の計画に一定のめどが立ったときが次へのステップと捉え、区としても常に情報収集に努めていくことが必要と考えます。  そこで質問は、周辺の景観・緑地の保全や地域活性化など、十分に考慮した跡地の活用となるよう、また、一定の条件が整えば、区として取得することも十分視野に入れながら、跡地活用について積極的に東京都に働きかけていくことを求めますが、区長の見解をお伺いいたします。  質問は以上でありますが、武井区長は、昨日の所信表明にあたって、これまでの政策、実績を、六月実施の港区長選挙で区民の審判を仰ぐと述べられました。港区議会公明党議員団は、十二年間の武井区長の区政運営を全面的に評価し、全力で支えていくと申し上げ、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの公明党議員団を代表しての池田たけし議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、所信表明についてのお尋ねです。
     まず、客引き行為等を禁止する条例の早期実現についてです。区は、繁華街における客引き等迷惑行為対策として、今年度、客引き防止プロジェクトを実施し、客引き行為等の実態調査や、地域住民、警察などと協働したパトロール等を重点的に行ってまいりました。本年一月二十一日から、区として初めて客引き等迷惑行為防止啓発員を六本木地域に配置し、四月からは新橋、赤坂地域にも拡大する予定です。このような取り組みの成果を検証しながら、東京オリンピックパラリンピック競技大会開催を見据え、より一層安全で安心できる港区とするために、平成二十八年度中に飲食店等を含む全ての業種を対象に、公共の場所における客引き・客待ち行為を規制する条例を制定することを目指してまいります。  次に、防災対策についてのお尋ねです。  区は、発生が危惧される首都直下地震や、近年の異常気象等により多発する風水害に迅速かつ的確に対応するため、避難勧告等の発令基準の策定など、防災対策の充実に取り組んでおります。避難勧告等の発令基準については、土砂災害や河川の氾濫など、災害の種別ごとに区が避難勧告等を発令する時期や対象地域を明確にするとともに、区民の皆さんがどのように行動すべきかを示したものです。平成二十八年度の港区地域防災計画の改定にあたっては、避難勧告等の発令基準を盛り込み、地域の防災協議会や消防団など、多くの区民の皆さんの意見を反映し、より実効性のある避難体制の構築を目指してまいります。  次に、みなと環境アプリの今後の取り組みについてのお尋ねです。  新規事業で予定しているみなと環境アプリは、環境学習やPM2・5などの環境関連情報を発信する機能のほか、区民が身近で気づき観察した昆虫や鳥、植物などの写真を投稿し共有する機能や、みなと区民の森にすむ四季折々の動植物を画像と音声で紹介することで、港区にいながら自然を感じることができる機能を搭載いたします。さらに指定喫煙場所を地図上に表示するなど、多彩な機能も搭載いたします。これらの機能により、区民が日頃から気軽に楽しみながら環境問題について考え、行動するきっかけとなるアプリとなると考えております。  次に、港区らしい快適な都市空間についてのお尋ねです。  区は、品川駅周辺地区のまちづくりにおいて、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインの改定段階から、東京都に緑の創出、風の道の確保や景観への配慮等の意見を伝え、ガイドラインに反映させるとともに、品川駅周辺地区地区計画(案)にも反映させてまいりました。今後、まちづくりを推進するにあたり、大規模な緑の創出や、風の道を確保した建物配置や意匠に配慮するとともに、高輪の斜面緑地や寺社などの歴史的景観資源を生かし、東京の南側の玄関口として風格とにぎわいのある魅力的な都市空間を形成してまいります。  次に、港区国際交流協会についてのお尋ねです。  港区国際交流協会は、区が取り組む国際力の強化における重要なパートナーです。港区国際交流協会は、平成二十六年度から区の支援を受け、事務局体制の強化や、事業の魅力向上に集中的に取り組み、会員数の増加や財政基盤の改善などの成果を上げております。  来年度は区と協働し、防災や地域のお祭り、清掃活動など、外国人への情報提供を一層充実するとともに、外国人が日本の伝統文化に気軽に触れ、体験し、深く理解できる公演などを実施することとしています。区は、今後とも港区国際交流協会が蓄積する人材とノウハウを遺憾なく発揮し、国際力強化の一翼を担う活動ができるよう支援してまいります。  次に、保育事業の地域格差が生じないよう配慮することについてのお尋ねです。  区は、保育園を整備する際に、地域の保育需要に応えられるよう、区立認可保育園の新設や私立認可保育園の誘致などにより、各地区の定員を拡大してまいりました。今後も、地区ごとの人口動向や保育需要を踏まえた定員の拡大を進めるとともに、就労形態の多様化により需要が増加している休日保育や年末保育、一時保育などにつきましても、各地区で応えることができるよう取り組んでまいります。  次に、将来を見据えた区の財政運営方針についてのお尋ねです。  まず、区財政のあるべき姿についてです。私は、いかなる社会経済情勢の変化にも柔軟に対応し、あらゆる世代が将来にわたって安心できる財政運営を行うことが、区財政のあるべき姿であると考えています。そのため、歳入においては、長期的に安定した財政運営を支えるため、税収の確保に加え、資産を活用した積極的な収入確保等に努め、歳出においては、経常的経費を抑えることにより、新たな課題や緊急的な課題に迅速かつ的確に対応可能な自由度が高く、弾力性のある財政構造を維持していくことが重要と考えております。  次に、将来課題を先取りした財政運営についてのお尋ねです。  新たな港区財政運営方針には、将来課題を見据えた積極的・戦略的な財政運営の考え方を盛り込みます。  第一に、突発的な事態への備えです。経済情勢の急激な変化や首都直下地震など、突発的な事態にも機能的に対応するため、積極的な歳入の確保策や緊急的な行政需要にも安定的に対応するための基金のあり方などを検討いたします。  第二に、将来顕在化が見込まれる課題への対応です。人口増加に伴い将来的に見込まれる行政需要やさまざまな状況変化に伴う新たな課題に迅速かつ的確に対応するため、各部門の主体性を高め、より迅速な課題解決を可能とする予算編成のあり方について検討いたします。  次に、特別区都市計画交付金の拡充についてのお尋ねです。  本来、基礎自治体の財源である都市計画税が、特別区においては都税とされ、これを財源に都市計画交付金として特別区に交付されています。また、交付金の対象事業が、道路、公園、市街地再開発等の一部に限られており、交付率や交付金総額も特別区の都市計画事業の実態に見合った配分となっていません。そのため、特別区はこれまで東京都に対し、都市計画交付金の改善を強く求めてまいりました。今後とも、都市計画交付金のより一層の拡充が図られるよう、特別区が一体となり粘り強く交渉を続けてまいります。  次に、民泊についてのお尋ねです。  国は、外国人観光客の急増に伴う宿泊需要に対応するため、旅行者を一般住宅に有料で宿泊させる民泊の検討を行っております。その実施にあたっては、旅館業法の適用を受けずに国家戦略特区内で行う制度があり、大田区で実施されております。一方、国では、旅館業法の規制緩和による方法についても、現在検討が進められています。いずれの場合も民泊を行う施設の安全性と快適性が確保されるだけでなく、緊急時の対策や近隣住民の生活との調和を図ることが重要です。  区は、国の「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、国に対し旅館業法と消防法など、関連法令との調整を図り、近隣住民への十分な配慮を行うことを強く要望しています。引き続き国の動向を注視するとともに、区内の実態把握に努め、区民の安全・安心が確保されるよう検討を進めてまいります。  次に、未利用区有地の活用についてのお尋ねです。  未利用の区有地につきましては、平成十九年三月に策定した港区土地活用方針において、活用のあり方や今後の活用の方向性を定め、平成二十三年度に旧小諸高原学園の貸し付け、平成二十五年度に箱根の旧仙石みなと荘の売却を行うなど、資産の利活用を図ってまいりました。引き続きそれぞれの土地の持つ性格や立地条件等を考慮しながら、資産としての利活用や将来のまちづくりにおける活用など、中・長期的で多角的な視点に立った有効活用に取り組んでまいります。  次に、認知症高齢者グループホームの家賃助成についてのお尋ねです。  現在、認知症高齢者グループホームに対する家賃等助成事業は、介護保険制度における地域支援事業に位置づけられ、各自治体が地域の実情に応じて実施できる事業の一つとなっております。認知症高齢者グループホームの家賃助成については、今後の検討課題と捉えており、来年度から策定作業を始めます次期介護保険事業計画の中で総合的な観点から検討してまいります。  次に、障害者差別解消法の施行を踏まえた区の取り組みについてのお尋ねです。  区は、職員が障害者一人ひとりの人格と個性を尊重し、寄り添いながら、窓口での対応や事業の実施等において、合理的な配慮ができるよう、職員が行うべきことを要領で定めるとともに、昨年十一月から管理職を対象に、また、本年二月からは一般職員を対象にした研修を実施し、職員の意識をより高め、法の趣旨の浸透を図っております。  さらに、三月には、区民や事業者の障害者への理解促進を目的としたシンポジウムを開催するとともに、本年四月には、障害者差別解消支援地域協議会を設置し、地域が一体となり障害者の差別解消に取り組んでまいります。今後も、さまざまな取り組みを積極的に進めることで、障害の有無にかかわらず、誰もがかけがえのない個人として尊重される地域社会を実現してまいります。  次に、高齢者の就労支援についてのお尋ねです。  まず、港区シルバー人材センターの体制強化の支援についてです。区は、これまでも高齢者のニーズに応えた多様な就業機会の確保に努め、港区シルバー人材センターによる職域の開拓、自主事業創出を支援しております。本年四月には、広尾駅バリアフリー化に伴い、区が設置する南麻布五丁目施設の一部を無償貸し付けし、会員が講師となるカルチャー講座などを行う、現在仮移転中のみなとふれあい館の開設を支援いたします。今後も、港区シルバー人材センターへの委託業務の拡大や会員募集のPR促進に向けて、区のホームページの内容を充実するなど、港区シルバー人材センターを積極的に支援してまいります。  次に、高齢者向けの仕事の開拓と働き方を応援する仕組みづくりについてのお尋ねです。  現在、団塊の世代も企業等による継続雇用期間を終えたことから、地域での多様な雇用・就業機会確保の必要性が増しています。区は、港区シルバー人材センターに対し、就業分野を開拓するスタッフの配置の支援をするとともに、指定管理者に港区シルバー人材センターへの優先発注を求めるなどの支援を行っております。また、無料で職業紹介を行う港区アクティブシニア就業支援センターを通じて、就業機会の創出を図っております。今後も、区は、高齢者の多様な就労ニーズに対応するため、港区シルバー人材センターをはじめとした関係団体との情報共有と連携強化に積極的に取り組んでまいります。  次に、都営青山北町アパートの開発整備についてのお尋ねです。  まず、都営住宅建替事業区域の児童遊園や広場についてです。区は、にぎわいや良好な居住環境の維持、防災性の向上の観点から、児童遊園と広場の一体的な管理運営が望ましいと考えております。このため、管理運営主体も含めて、東京都と協議をしてまいります。  次に、沿道一体開発検討区域についてのお尋ねです。  区は、今後、沿道一体開発検討区域について、生活利便施設の充実など、地域の皆さんからの要望を反映したまちづくりを推進するため、東京都と協議してまいります。また、地域の皆さんの参画により策定した青山通り周辺地区まちづくりガイドラインに掲げる「未来に受け継ぐ気品とにぎわいのまち青山」の実現に向け、区民・事業者等と行政が一体となった取り組みを進めてまいります。  次に、屋外広告を活用した屋根付きのバス停留所の整備についてのお尋ねです。  東京都は、狭い歩道にも屋根のある広告付きバス停留所が設置できるように基準を改正いたしました。これにより、「ちぃばす」のルート上でも設置可能な場所が増え、屋外広告事業者の費用で設置することが容易になりました。今年度は、屋外広告事業者及びバス事業者との間で、広告事業者の費用負担による屋根のある広告付き停留所を設置する検討をしてまいります。今後早期に、区と屋外広告事業者及びバス事業者との間で協定を締結し、整備を進めてまいります。  最後に、白金二丁目の旧都職員住宅跡地の活用についてのお尋ねです。  区は、白金二丁目の都有地の活用について、定期的に東京都に対して情報収集をしております。今月に入り、東京オリンピックパラリンピック競技大会関連の用途も含めた活用をする方向で検討しているとの情報提供がありました。東京都に対しては、その活用の方向も含め、引き続き情報収集に努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕 ○教育長(小池眞喜夫君) ただいまの公明党議員団を代表しての池田たけし議員のご質問にお答えいたします。  障害者差別解消法の施行を踏まえた教育委員会での取り組みについてのお尋ねです。  教育委員会では、本年三月、法の趣旨や障害を理由とする差別の禁止などについて理解を深め、教育活動において適切な対応ができるよう教員に対し研修会を実施する予定です。本年四月からは、全ての区立小学校で特別な支援を必要とする子どもたちに、通常の学級の指導に加え、特別支援教室で個に応じた指導や支援を行ってまいります。通常の学級における指導にあたっては、障害のある子と障害のない子がともに学び、ともに育ち合うことの重要性を教員が意識して指導できるよう、教員の人権意識の醸成に努めてまいります。今後も共生社会の確立に向けた人権教育を一層充実してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○副議長(近藤まさ子君) 次に、二十八番風見利男議員。   〔二十八番(風見利男君)登壇、拍手〕 ○二十八番(風見利男君) 二〇一六年第一回港区議会定例会にあたり、日本共産党港区議員団を代表して質問いたします。  安倍首相は、緊急事態条項や憲法第九条第二項を変えると、改憲発言を繰り返しています。日本共産党は、解釈改憲とともに、あらゆる明文改憲に反対し、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を貫く、新しい政治、全ての国民の個人の尊厳を守り、大切にする社会の実現のために奮闘することを述べ、質問に入ります。  安倍政権は昨年九月十九日未明、多くの国民、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官と判事らが憲法違反と指摘した戦争法案、安全保障関連法案を強行しました。戦争法、安全保障関連法は、まず内容の面で憲法第九条を踏みにじって、自衛隊の海外での武力行使を行う仕組みが幾重にも盛り込まれている違憲立法です。さらに、やり方の面で、戦後六十年余にわたる憲法第九条のもとでは集団的自衛権を行使できないという政府の憲法解釈を、一内閣の勝手な判断で百八十度覆すという立憲主義の破壊が行われました。戦争法、安全保障関連法は、内容も、やり方も二重に憲法違反であり、廃止するしかありません。  日本国憲法第九十九条は、国務大臣や公務員の憲法遵守義務を定めています。区長も憲法第九十九条で定める憲法を尊重し擁護する義務を負っていると思いますが、区長の認識についてお伺いします。  戦争法、安全保障関連法は、既にある法律を十本まとめた平和安全法制整備法と、新法の国際平和支援法の二本です。武力攻撃事態法に追加されたのが、存立危機事態という規定です。存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態のことを指しますが、存立危機事態と認定するのは時の政府ですから歯どめがありません。また、我が国と密接な関係にある他国とはアメリカのことを指しますから、米軍と一緒に自衛隊が地球の裏側までも出動できる根拠になるもので、集団的自衛権を行使するものです。  「正月になって餅を食えば忘れる」と言った自民党の議員がいたそうですが、国民は忘れるどころか、戦争法、安全保障関連法の廃止を求める運動は、ますます広がってきています。世論調査でも戦争法、安全保障関連法反対は過半数を超えています。  憲法前文には、国民主権、人権保障、平和主義などの諸原理の宣言に続き、「これは人類普遍の原理であり(中略)われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と明記されており、憲法改正禁止規範と言われています。集団的自衛権の行使は、憲法上許されないこと、戦争法、安全保障関連法は憲法違反であることは明白です。区長として、どう認識されているのか、明確にお答えいただきたい。  昨年の第四回定例会で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会など、二十九団体が取り組んでいる二千万人を目標にした戦争法、安全保障関連法の廃止を求める統一署名への賛同を求めましたが、区長は、「特定の法律に対する賛否をあらわす署名をすることは考えておりません」と拒否しました。今まで介護保険をはじめ、国に対して声を上げてきたことをお忘れですか。戦後、自衛隊員が殺されたり、他国の人を殺したりしたことはありません。この法律によって殺し殺される危険が広がりました。また、日本国民がテロに巻き込まれる危険が出てきました。区民の生命と財産を守るべき区長として、非核平和都市宣言をしている区の長として、率先して署名し、区民に憲法を守る立場を発信すべきです。答弁を求めます。  次に、消費税大増税の実施中止についてです。  安倍政権が実施しようとしている、来年四月の消費税率一〇%への増税には全く道理がありません。安倍首相は、「増税分は全額社会保障の充実・安定化に充てる」と言っているものの、やっていることは全く逆です。二〇一三、二〇一四、二〇一五年度と三年間、単年度で八千億円から一兆円近くと見込まれた社会保障費の自然増を毎年五千億円まで抑制。この間、生活保護制度の改悪、介護報酬の引き下げ、年金の削減、国民健康保険料の連続値上げ、医療報酬等々、社会保障制度の改悪が行われています。また、軽減税率導入についても税負担が軽くなるかのような大宣伝が行われていますが、食料品などが八%に据え置かれるだけで、税率が下がるわけではありません。  麻生財務相は消費税率を一〇%に増税した場合の家計への負担増を、一世帯当たり六万二千円程度、一人当たり二万七千円程度と述べ、大きな負担となることを認めました。しかも、消費税の最大の問題である所得が低い人ほど負担が重くなる逆進性は、食料品などの税率を据え置いたとしても強まることを認めており、アベノミクスのもとで深刻になっている貧困と格差に追い打ちをかけるものです。  六人に一人が貧困ラインを下回る社会、とりわけひとり親家庭の貧困率は五割を超え、OECD加盟三十四カ国で最悪となっている貧困大国の現状では、暮らしが成り立たなくなる危険があります。しかも、庶民増税の一方で、大企業には減税の大盤振る舞いです。復興特別法人税の廃止の一年前倒しや法人税率引き下げなどで三兆円、来年度以降はさらに一兆円の減税が加わります。ところが、もうけは一向に賃金に回らず、実質賃金は四年連続マイナス、大企業の内部留保は三百兆円を超えました。このため個人消費が落ち込み、地域経済を冷え込ませています。  区内の中小企業の景況は、消費税率五%から八%に引き上げられた一昨年四月から六月期以降、昨年一月から三月期を除き業況判断DIは二桁のマイナスで、業況は「悪い」が続いています。消費税増税実施の道理も環境にもないことは明らかです。区民の暮らし、地域経済を守るため、消費税率一〇%への大増税を中止するよう国に申し入れるべきです。答弁を求めます。  次に、都営青山北町アパートの建て替えについてです。  東京都は一月十九日、都営青山北町アパート全体の建て替え計画を発表しました。同月二十三日には居住者説明が行われました。建て替え計画は、敷地の四分の三を民間の開発に提供、都営住宅の敷地は四分の一にしかすぎません。居住者や都営住宅に住みたいと願う人たちのためではなく、大企業のための計画と言っていいものです。  私の提案もあり、区長は東京都へ「従前の戸数、五百八十六戸を確保されたい」と要請しました。区内の都営住宅の空き家、直近の応募は二百七十七倍ですから、当然の要請です。ところが、東京都の計画は、現在住んでいる約三百戸しか建てようとしません。団地の真ん中の通路の南側の敷地の一番南に二十階建ての都営住宅を建て、残る半分を民間に貸し付ける計画です。民間に貸すのではなく、そこにもう一棟から二棟の都営住宅を建設するよう、実現まで粘り強く要請すべきです。答弁を求めます。  区長名で提出した東京都への要求を実現するため、港区議会として東京都に意見書を提出するよう、議長に取り計らいをお願いいたします。  また、都営住宅の入居者のほとんどが高齢者のみの世帯で、ひとり暮らし高齢者です。引っ越しが現実のものとなり、「要らない家具をどうする」、「引っ越しの準備などできそうもない」等々、高齢者の悩みは深刻です。移転に関するさまざまな心配事に親身になって相談する窓口を設置すべきです。答弁を求めます。  次に、災害時避難行動要支援者登録制度についてです。  昨年十月から従来の災害時要援護者登録制度にかわって、災害時避難行動要支援者登録制度が始まりました。  八十七歳のひとり暮らしの方の例を紹介します。この方は、足が不自由で買い物もままならない状況ですが、要介護一のため、新しい制度では対象外になってしまいます。近くに身寄りもいないため、登録者から外れると困ることから、区に電話しました。担当者からは「要介護一・二では対象になりません」との返事でした。「いざ災害があったらと心配で夜も眠れない」という相談がありました。  新しい制度では要介護三以上が対象で、六十五歳以上の高齢者のみの世帯というだけでは対象外となりました。対象外になる方に郵送した案内には、「登録要件の一から六に該当しない方についても、登録要件に準ずる状況にある場合は、お手数ですが、お問い合わせください。」となっています。相談があった場合には、「該当しません」ではなく、相手の立場に立って相談に乗るべきです。そして、その方の状況、生活実態を見た上で、準ずる状況にあるとの判断を柔軟に行うことが必要です。それぞれ答弁を求めます。  次に、特別養護老人ホームの待機者をなくすことについてです。  特別養護老人ホームの二〇一六年度前期入所申し込みが一月末で締め切られました。入所希望者は三百九十三名もいます。要介護五の方が百六名、要介護四の方が百二十八名と重度の方が多数です。区長は、介護度の高い方は一年以内に入所できると言いますが、本人や家族にとっての一年間は転院先を探したり、入退院を繰り返したりと非常に深刻です。私どもに相談に来た方で、特別養護老人ホームに申し込んでもすぐに入所できないため、病院を転々としながら、結局入所できないまま亡くなられた方が三人います。こうした状況を放置すべきではありません。  区は、南麻布四丁目に特別養護老人ホーム百床を含む複合施設を計画していますが、開設時期は二〇二〇年三月と四年も先になります。入所を待っている方や家族の希望に応えることにはなりません。区の地域保健福祉計画策定時の人口推計でも七十五歳以上の高齢者は増えており、また、港区の特徴として、六十五歳以上のひとり暮らしの割合は、全国平均二四・八%と比べ、港区では四〇・二%と高くなっています。  特別養護老人ホームの入所待機者をなくすために、1)南麻布四丁目の計画を前倒しすること。2)今回購入予定の南青山一丁目用地を活用し、青山地域初の特別養護老人ホームを建設すべきです。答弁を求めます。  次に、未来を担う子どもたちのために、園庭のある保育園建設についてです。  四月には私立認可保育園が三十三園になりますが、そのほとんどが園庭のないビルの一室を利用した保育園です。園庭がなく外遊びやプール遊びのできない私立認可保育園に対し、プール遊びや外遊びができるよう区有施設を提供し、支援をしていく事業を行っていますが、利用時間が重なったり、炎天下の中、子どもを連れて長時間移動しなければならない等々、課題が出ています。  港区の今後の保育行政のあり方についての中でも、保育環境の充実では、プール遊びや外遊びの場の支援の実施状況を踏まえ、運用の改善を図り、利用可能な区有施設の拡大を検討するとしていますが、根本的解決にはなりません。保育環境の改善が必要な園は、認証保育所も同様です。外遊びや体を使った遊び、プール遊びは子どもたちの育ちにとって極めて重要です。保育園の整備については、園庭のある認可保育園とすべきです。答弁を求めます。  次に、シルバーカーの支給についてです。  高齢者が買い物や散歩などで外出することは、健康維持にとって大事なことです。その際、買い物した物を運ぶための利用、また、途中で休憩するための椅子として利用ができるすぐれものがシルバーカーです。介護保険では健康維持のために福祉用具の貸与制度がありますが、健康維持と言いながら、外出の際の重要な支えとなるシルバーカーは対象に入っていません。シルバーカーを福祉用具に加えるよう国に要請すべきです。また、高齢者の健康維持のための支援策として、区として現物支給や購入費用の助成を行うべきです。答弁を求めます。  次に、ベンチのあるまちづくりについてです。  高齢者が外出する際、ところどころにベンチがあると外出しやすいのでベンチを設置してほしい、との声が寄せられています。今までも機会があるごとに質問をしてきました。そのこともあり、高輪地区総合支所の地域事業として、とまり木のある道路づくりが行われてきました。二〇一五年度からは港区基本計画事業に位置づけられました。全地区的に設置が進むことを期待しています。  また、バリアフリーの観点から、ベンチの設置対象を坂道に限定せず、ベンチのあるまちづくりとして推進していただきたい。国道、都道にも設置するよう要請すること。全国の七十五自治体と結んでいる、間伐材を初めとした国産材の活用促進に関する協定を生かし、高齢者や交通弱者に喜ばれる施策と、地球環境を守る施策と一緒に進めることができます。ベンチのあるまちづくりを積極的に進めるべきです。答弁を求めます。  次に、精神障害者にも心身障害者福祉手当を支給することについてです。  今までも機会があるごとに質問してきました。区長の答弁は、「精神障害者への施策の充実がおくれていたため、地域で自立し、安定した生活を営むために必要なサービス水準の向上に重点的に取り組んでいる」という内容で、だから福祉手当は支給しないというものです。おくれていた施策の充実は当然のことであり、手当を支給しない理由にはなりません。  障害者の権利に関する条例、いわゆる障害者権利条約第四条は、障害者に対する差別となる既存の法律、規制を修正することなどを規定しています。憲法第十四条は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定めています。  ことし四月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が施行されます。区では、障害者のある人も住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるようにと、障害者福祉推進基金をつくります。精神障害者にも心身障害者福祉手当の支給を実施するいい機会です。これ以上精神障害者への差別はやめ、心身障害者福祉手当を支給すべきです。  また、六十五歳以上で新たに心身障害者福祉手当の支給対象に該当する場合も、手当を支給すべきです。それぞれ答弁を求めます。  次に、「ながら見守り連携事業」への参加についてです。  東京都は、昨年七月二十一日に都庁で、一般社団法人東京都信用金庫協会、日本郵便株式会社東京支社と、十二月十八日には株式会社セブン-イレブン・ジャパンと「ながら見守り連携事業」に関する協定を締結しました。これは昨年、奈良県で小学生の女の子が連れ去られる事件が発生したほか、都内の交通事故死傷者数に占める高齢者の割合が高どまりの状況にあるなど、子どもや高齢者が被害者となる事件・事故が多発していることから、地域に密着した事業者に日常業務をしながら、子どもや高齢者等の弱者を見守ってもらうことで、安心して暮らせる地域づくりを、という目的で協定を結んでいます。  市区町村については、市区町村と協議し、各店舗で実施できるようにとなっています。区でも多くの事業者と高齢者の見守り協定を結び、戸別訪問等を通じて高齢者の見守りを進めていますが、「ながら見守り連携事業」は、日常生活という広い見守りになります。区も高齢者の見守りに加えて、「ながら見守り連携事業」協定締結に向けた協議を早急に行うべきです。答弁を求めます。  次に、服部時計店の創業者、服部金太郎氏が所有していた大邸宅の保存についてです。  白金二丁目にある服部金太郎氏の五千坪と言われる大邸宅が、シンガポールの大手不動産デベロッパーに売却されました。これにより、開発で、旧服部邸がなくなる危険があります。服部氏はここで生活していたそうです。旧服部邸は、戦後はGHQに一時接収され、東京裁判の判決文や憲法草案がここで書かれたと言われています。  ここに建つ建物は、大正・昭和に活躍した建築家・高橋貞太郎氏によるものです。高橋氏は、旧前田家本邸や旧服部邸など豪華な邸宅建設のほか、上高地ホテル、川奈ホテルなど、ホテル建設に秀作が多くあります。高橋氏が手がけた一九二八年建設の学士会館は登録有形文化財、同年建設の旧前田家本邸は国の重要文化財に指定されています。旧服部邸には、雑誌や本の写真を見る限り、文化的な価値を強く感じる建物です。区長にも教育長にもこの写真はお渡ししてあるので、そう感じたことだと思います。  埋蔵文化財の試掘調査にあたって事業者が近隣に挨拶に来た際、建物は残す旨の話をしているとの情報があります。所有者の意向抜きに調査はできませんが、専門家による建物の調査ができるよう要請すること。また、貴重な建築物として建物の保存を要請すべきです。答弁を求めます。  次に、子どもの教育を受ける権利を保障するため、給付型奨学金制度創設についてです。  これまでも給付型奨学金制度の創設については、たびたび質問をしてきました。日本は経済協力開発機構、OECDの分類で、高授業料・低補助に分類されています。同じ分類のチリでは、所得の低い世帯を対象に、国立・私立大学ともに授業料の無償化を決定、全学生の三〇%以上、約二十万人に適用されます。韓国は二〇〇八年から生活保護受給者から低所得者層、中所得者層へと給付型奨学金制度を拡大しています。ドイツでは半額給付・半額貸与が原則で、総額百四十万円を超える分は返済が免除されます。日本とは大違いです。  足立区が来年度予算で子どもの貧困対策に本格的に着手し、経済的な理由で進学を断念したり、卒業後に返済に追われたりする若者を減らすために、貸付金額の半分、最大で一人当たり百万円を免除する制度や、さまざまな奨学金を利用して保育士の資格を取得した若者を対象に、返済額の一部、最大三十万円を肩代わりし、区内の保育施設への就職を後押しする制度を新設します。世田谷区も養護施設出身者を対象に給付型奨学金、最大で年間三十六万円の制度を開始します。長野県では、入学一時金に加え、給付型奨学金が始まります。
     港区の奨学金貸し付けの利用者は、貸付中の方が百二十八人、返還中の方が五百八十一人です。今返済している方は、奨学金を返し終わるまでは将来について考えられないと必死です。1)港区としても、経済的理由で進学を諦めざるを得ない若者が出ないよう、給付型奨学金制度を早急に創設すべきです。2)港区の奨学金を借りて高等学校等に入学した場合、二万円の入学祝金が支給されます。大学生も同様に入学祝金を支給すべきです。3)現在、奨学金を返済中の人については、収入状況や就労状況を勘案し、返済免除の適用を拡大すべきです。それぞれ答弁を求めます。  次に、学校トイレの改善についてです。  今の子どもたちは洋式トイレで育っています。小学校に入るまで和式トイレを見たこともなかったという子どももいます。学校に洋式トイレをもっと増やすと同時に、和式トイレのしゃがみ方、バランスのとり方などを楽しく伝えて、子どもたちがどちらのトイレでも安心して排泄できるようにすることが必要です。  小学校低学年を対象にしたある調査によると、学校のトイレでうんちをしない、我慢をする子どもは四一%もいます。子どもに便意を我慢させてしまうことはとてもよくないことです。小学校でトイレや排泄の大切さを教えるべきです。  文部科学省のトイレ発!明るく元気な学校づくり!!−学校トイレ改善の取組事例集−では、世田谷区や葛飾区などの先進的な取り組みが紹介されています。豊島区では、三年計画で小・中学校の全てのトイレを洋式に置き換えるための予算を計上しました。これらを参考に、児童・生徒が安心して使えるトイレにするため、児童・生徒、教職員の意見も聞き、建て替え時や大規模改修時などと改修を先送りせず、学校トイレ改善年次計画を立てて改修に取り組むべきです。改修にあたっては、文部科学省の補助金があるわけですから、これも積極的に活用すべきです。それぞれ答弁を求めます。  最後に、学校プールの温水シャワーの設置についてです。  昨年度の予算特別委員会での総括質問に対し、教育長は、「配管の更新など給湯設備の付帯工事を伴うことから、学校の改築や大規模改修時など、授業への影響を考慮して実施してまいりました。今後さまざまな施行方法の可能性につきましても、学校と協議の上検討する」と答弁されましたが、授業に影響の出ない対策は十分可能です。  温水シャワーがついていない学校は、小学校で十八校中八校、中学校は十校中二校と少数です。プール始めの時期、終わりの時期など、かなり冷えるときがあります。全ての学校の児童・生徒が安心してプールに入れるようにする責任が区にはあります。早急に学校の状況をよく調べ、学校の意見をよく聞き、学校の状況に見合うやり方で設置を進めるべきです。答弁を求めます。  以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問することをあらかじめ述べて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。             ─────────────────────────── ○副議長(近藤まさ子君) お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長したいと思いますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(近藤まさ子君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。             ───────────────────────────   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、安全保障関連法についてのお尋ねです。  まず、憲法第九十九条の認識についてです。憲法第九十九条は、公務員の憲法を尊重し、擁護する義務を規定しています。区長である私も当然にその義務を負うものです。  次に、安全保障関連法に対する認識についてのお尋ねです。  安全保障関連法が憲法に反するかどうかについて、私が判断すべき事柄ではないと考えております。  次に、安全保障関連法の廃止を求める署名についてのお尋ねです。  私といたしましては、特定の法律に対する賛否をあらわす署名をすることは考えておりませんが、平和都市宣言をしている区として、引き続き毎年、憲法週間記念講演と映画のつどいなど、憲法を考える機会を設けるとともに、平和展をはじめとした平和事業を通じて、恒久平和について区民に発信してまいります。  次に、消費税増税の中止を求めることについてのお尋ねです。  平成二十九年四月の消費税率一〇%への引き上げにあたっては、国は、軽減税率制度の導入を盛り込んだ税制改正関連法案を、今月五日に閣議決定しております。区といたしましては、消費税増税の実施を中止するよう国に申し入れることは考えておりませんが、区民生活や区政に与える影響等の情報収集に努めるとともに、今後も国の動向を注視してまいります。  次に、都営青山北町アパートの建て替えについてのお尋ねです。  まず、従前の戸数の確保についてです。区は、都営青山北町アパートの建て替えに際し、従前戸数の確保を要望していますが、東京都からは、港区内における都営住宅の総戸数を確保するという内容の回答を得ております。都営青山北町アパートに現在居住されている皆さんの住宅は確保されていることを確認しておりますが、従前の戸数まで増やすことにつきましては、港区内全体での都営住宅の充実を含め、引き続き東京都に要望してまいります。  次に、相談窓口の設置についてのお尋ねです。  住宅移転及び引っ越しに関するさまざまな相談については、東京都の都営住宅を所管する組織が責任を持って対応いたします。現在、区においても、都営青山北町アパートの居住者から寄せられた移転先への引っ越しの手配や費用などの相談に応じております。今後も、居住者からのさまざまな心配事に対しては、東京都との連絡調整も含め、きめ細かく丁寧に対応してまいります。  次に、災害時避難行動要支援者登録制度についてのお尋ねです。  まず、相手の立場に立った相談についてです。区は昨年十月、避難行動要支援者登録事業を開始し、港区災害時避難行動要支援者登録名簿の登録要件に該当しない方についても、特別の理由がある場合は個別に相談を受け、登録をしております。現在、区民の皆さんからの相談があった際には、相手の立場に立って十分な説明を行い、適切な対応を心がけております。今後も、相談に訪れた方々の個々の事情や生活状況を十分にお伺いしながら、丁寧で細やかな対応をしてまいります。  次に、登録要件に準ずる状況についての柔軟な判断についてのお尋ねです。  現在、名簿の登録要件に該当しない方についても、特別の理由があり、登録要件に準ずる方として、十三名が登録されています。今後も、区民の皆さんの不安を招かないよう、相談に訪れた方の個々の事情や生活状況を十分に把握した上で、登録について柔軟に判断し、災害時の安否確認や避難行動が確実に行えるよう取り組んでまいります。  次に、特別養護老人ホームの待機者をなくすことについてのお尋ねです。  まず、南麻布四丁目計画の前倒しについてです。区は、南麻布四丁目第二用地において、定員百床の特別養護老人ホームを、平成三十二年三月の開設を目指し、現在、事業者公募に向けた準備を進めているところです。引き続き可能な限り早期に開設できるよう努めてまいります。  次に、南青山一丁目用地での特別養護老人ホームの建設についてのお尋ねです。  現在、当該用地は、取得に向けて手続きを進めており、赤坂地区での行政ニーズなどの動向を踏まえ、保育需要等に対応するための活用を予定しております。  次に、園庭のある認可保育園の整備についてのお尋ねです。  認可保育園の整備にあたり、子どもが安心してプール遊びや外遊びができる園庭を確保することは、保育環境の充実を図る上で望ましいことと考えております。区はこれまで待機児童解消に向けて、私立認可保育園の誘致などにより、保育定員の拡大に積極的に取り組んでおりますが、都心区ならではの地域性から、園庭を確保することが難しい状況もあります。このことから区は、園庭のない私立認可保育園に対する支援策を全庁的に検討し、区有施設を活用したプール遊びや外遊びの場所を提供し、支援しております。引き続き私立認可保育園と利用状況を踏まえた意見交換を行い、さらなる保育環境の充実に向けて支援してまいります。  次に、シルバーカーの支給についてのお尋ねです。  まず、介護保険の対象とするよう国に申し入れることについてです。介護保険の対象となっている福祉用具貸与は、要介護認定者が日々の生活の質を向上させることや、低下した心身の機能を維持、改善させるための用具を貸与するもので、外出時の移動については、歩行器が対象となっています。区としましては、まず、主な用途が荷物運搬のシルバーカーを、高齢者がどのような目的で使っているのか、また、介護保険の対象となっている福祉用具としての機能を備えているものか等を調査し、利用実態の把握をしてまいります。このことから、シルバーカーを介護保険の対象となっている福祉用具貸与に加えるよう国に申し入れることは現在考えておりません。  次に、現物支給や購入費助成の実施についてのお尋ねです。  シルバーカーについては、高齢者の利用の実態や機能・効果を把握することが、まず必要と考えております。その上で、シルバーカーの支給や購入費助成について、高齢者の日常生活を充実させる支援策としての必要性や効果性を踏まえ、検討してまいります。  次に、ベンチのあるまちづくりについてです。  まず、ベンチのあるまちづくりの推進についてです。区は、港区バリアフリー基本構想に基づき、急勾配の坂道にベンチなどの休憩施設や手すりを設けてまいりました。今後も、歩道幅員や地形状況に応じ、ベンチや手すりなどを積極的に整備してまいります。  次に、国道、都道へのベンチの設置を要請することについてのお尋ねです。  区は、今後も、国や東京都に対し、ベンチや手すりの設置について、港区バリアフリー基本構想特定事業計画に基づき、整備を実施するよう要請してまいります。  次に、協定木材の活用についてのお尋ねです。  歩道上にベンチを設置する際には、協定木材を使用した製品を使い、協定木材の活用につなげて、地球温暖化の防止、国内の森林整備の推進に役立つよう努めてまいります。  次に、心身障害者福祉手当についてのお尋ねです。  まず、精神障害者への心身障害者福祉手当の支給についてです。区では、障害者の支援に際し、障害の種類や等級に応じて、それぞれの障害に合った適切なサービスを提供しております。その中で、精神障害者に対しては、一人ひとりが地域で自立し、安定した生活を営んでいけるよう、就労の場の確保や地域での居住の場の整備に重点的に取り組んでおります。みなと保健所の喫茶・軽食コーナーや高輪地区総合支所の福祉売店などを就労の場として確保するとともに、本年四月には、南麻布五丁目に区内二カ所目となる精神障害者グループホームを開設いたします。  また、事業の継続性を高め、安定的に、より充実したサービスを提供するため、本年四月にあいはーと・みなとを区立施設とし、新たに開設いたします。区では、こうした精神障害者を対象者としたさまざまな取り組みを今後も積極的に実施していくことから、現時点では、精神障害者へ心身障害者福祉手当を支給することについては、検討課題の一つと考えております。  次に、障害者となった年齢が六十五歳以上の人に心身障害者福祉手当を支給することについてのお尋ねです。  心身障害者福祉手当の制度は、国の社会保障制度が必ずしも十分でない時代に開始されたものです。その後、年金等による所得保障の充実とともに、福祉サービスにおいて、経済的給付から現物給付への転換が図られ、平成十二年四月から開始された介護保険制度により、六十五歳以上の障害の方にも必要な介護サービスが提供されることとなりました。さらに、現在、介護保険制度は、法改正を重ねる中で、障害福祉制度と同様の質や量の在宅サービスが提供されるとともに、区においては、通院時の病院内の介助や住宅設備の改修費の助成などの独自の高齢者施策の充実にも取り組んでおります。こうしたことから、障害者となった年齢が六十五歳以上の人に心身障害者福祉手当を支給することは考えておりません。  最後に、「ながら見守り連携事業」についてのお尋ねです。  東京都は、平成二十七年、地域に密着した事業者である一般社団法人東京都信用金庫協会、日本郵便株式会社東京支社及び株式会社セブン-イレブン・ジャパンと、日常業務をしながら子どもや高齢者等の見守り活動に協力してもらう「ながら見守り連携事業」に関する包括協定を締結しました。区は、この包括協定に基づき、区の実情を踏まえた各事業者と個別の協定締結に向けた検討を進めております。また、子ども一一〇番事業やライフライン事業者と締結している高齢者等の見守りに関する協定など、既に区が実施している安全・安心に関する事業との効果的な連携ができるよう取り組んでまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕 ○教育長(小池眞喜夫君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、旧服部邸の調査と保存を要請することについてのお尋ねです。  旧服部邸は、高橋貞太郎氏が設計し、竣工から八十年を経過した、イギリス中世のチューダー様式をモダンにした特徴ある建物です。これまで建物調査が行われていないことから、現在、教育委員会が行う建物の現況調査について、所有者等に協力を依頼しております。調査の結果、文化財的価値が高いと判断された場合には、所有者等の意向を伺いながら、建物の保存について、理解を求めてまいります。  次に、奨学金制度についてのお尋ねです。  まず、給付型奨学金制度の早急な創設についてです。家庭の経済状況によって子どもたちの将来が閉ざされることがないよう、必要な環境を整備していくことは、重要な課題であると考えております。奨学金制度については、国においても、高校生等奨学給付金制度をはじめ、大学生の無利子奨学金事業の拡充などの充実が図られております。区としては、現行の貸付制度を継続してまいりますが、給付型奨学金制度の創設については、国の動向や給付制を導入する他区の制度等を参考に、今後、研究してまいります。  次に、大学生への入学祝金支給についてのお尋ねです。  区の奨学金制度は、平成二十年度から対象を大学生に拡大して実施しております。大学生を対象とした奨学金制度を創設している自治体は二十三区中、港区を含め四区となっております。大学生の入学祝金支給については、今後、区の奨学金制度全体の中で研究してまいります。  次に、返済免除の適用拡大についてのお尋ねです。  奨学金の返還免除については、収入だけではなく、就労状況、健康状態、連帯保証人や家族の状況などを勘案し、総合的に判断する必要があります。具体的には個別に判断することになりますが、貸付者に対しては、返還方法の変更や返還の猶予について相談に応じるなど、引き続きそれぞれの生活状況に応じた柔軟できめ細かな対応に努めてまいります。  次に、学校トイレの改善についてのお尋ねです。  まず、トイレや排泄に関する学習についてです。現在、全ての小学校において、一年生の入学当初から養護教諭と担任が連携し、トイレの使い方を含めた排泄の大切さについて、学級活動の時間を活用して学習を行っています。また、小学校三年生の保健の授業においても、一日の生活の仕方と健康の中で、排泄の重要性について取り上げています。さらに、学校独自の取り組みとして、昨年七月、御田小学校において二年生を対象に学校支援地域本部の出前授業を活用した、おなか元気教室を行い、腸の役割や排泄習慣の大切さについて学んでいる例などもあります。  次に、改修計画の策定と取り組みについてのお尋ねです。  学校トイレが、子どもたちにとって明るく使いやすい空間であることは重要なことであり、これまで学校の要望に基づき、小・中学校のトイレの改修を実施しております。現在、学校トイレの約八割を和式から洋式へ改修しております。今後も、学校と協議の上、計画的に改修を進めてまいります。  また、国庫補助金につきましては、これまでも補助要件に合致した場合には活用してまいりました。今後も補助金の活用に努めてまいります。  最後に、学校プールへの温水シャワーの設置についてのお尋ねです。  温水シャワー機能のない小・中学校のプールは屋外にあり、校庭や校舎の屋上に配置していることから、設置場所にはガス管の新設や給湯設備の設置場所を確保する必要があります。給湯設備の設置場所等が確保可能な学校から、授業への影響も考慮しながら学校と十分協議の上、順次改修に向けて検討を進めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。   〔二十八番(風見利男君)登壇〕 ○二十八番(風見利男君) 何点か再質問いたします。  都営青山北町アパートの建て替えについては、東京都に意見書を提出するよう、議長に取り計らうことをお答えいただくつもりだったのですけれども、要望と捉えたようで、ぜひ実現するように、最初にお願いしておきたいと思います。  最初の消費税率の問題ですが、二〇一四年に五%から八%に大増税したときに、国民の批判を恐れて、低所得者の負担軽減のための簡素な給付措置という制度を設けたのですね。今度、八%から一〇%になると、この給付制度がなくなってしまうわけです。そうすると、所得の低い人はダブルパンチになるわけです。ですから、今度の消費税増税は本当にひどい。今、国会で消費税増税の論議が始まっていますけれども、これは一〇%にとどまらないで、一五%、二〇%とどこまでも果てしなく上げられると、このような仕組みになっているわけで、区民の生活、あるいは中小企業の置かれている状況をよく考えていただきたい。  先ほど言った簡素な給付措置制度では、住民税非課税世帯に対し、全国でいうと約二千二百万人、港区では五千二百人に給付措置で支給されていました。これが先ほど言ったようになくなるわけです。この間、GDPのマイナスとか、働く人の実質賃金が四年連続マイナスということで、本当に国民の生活が大変になっているときに消費税を増税したら、さらに景気が悪化することは目に見えているわけですから、このような時期に消費税の増税をやめろということは、区民の生活を守る、あるいは中小企業の経営を守る立場の区長として、私は当然だと思います。ぜひそこをしっかりお答えいただきたい。  都営青山北町アパートについては、港区全体で都営住宅の戸数は減らないからということが東京都の主張だそうですけれども、この間、区内の都営住宅の空き家の募集が九十倍、百倍、直近では、先ほど言ったように二百倍を超えているわけです。本当に都営住宅に入りたい人、今住んでいる人は当然ですけれども、さらに入りたいという人がたくさんいるわけですから、それに応えるという、そのために区長が東京都へ、少なくとも五百八十六戸の戸数は確保してほしいと要請したわけですから、ぜひこれは引き続き東京都に、東京都に言われるままではなくて、強く申し入れるべきだと思うので、ぜひそれをお答えいただきたい。  それと、シルバーカーのことでは、介護保険の対象に歩行器があると。歩行器というのは外に持っていけない、部屋の中で歩くことの補助になるものです。高齢者の方が自ら買い物に行ったり、散歩をしたりということで、介護保険の仕組みから見ても、元気な高齢者になってほしいわけですから、外出するという、その手助けになる仕組みは非常に大事なので、ぜひシルバーカーへの助成等を区として実施してもらいたいと思います。  あと、精神障害者への心身障害者手当の支給についてですけれども、区長の答弁は今までと全く一緒です。障害者を差別してはいけないという法律ができて、区長も所信表明で障害の有無とか、性別とか、年齢とか、国籍など理由のいかんを問わず差別は決して許されませんと述べているわけですから、この際、ぜひ精神障害者にも心身障害者福祉手当を支給するという決断をしていただきたいと思います。  そのほかにもたくさんありますけれども、時間の関係で、以上で終わります。ぜひ再質問にしっかりお答えいただきたいと思います。   〔区長(武井雅昭君)登壇〕 ○区長(武井雅昭君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員の再質問に順次お答えいたします。  まず、消費税増税の中止を求めることについてです。  消費税率の引き上げに際しては、中小企業や小規模事業者の円滑かつ適正な価格転嫁が図られるように特別な立法措置もとられております。また、国においても軽減税率制度の導入を盛り込んだ関連法案を閣議決定しているところでございます。区といたしましては、こうしたことも含めまして、区民生活や区政に与える影響などの情報収集に努めるとともに、今後も国の動向を注視してまいります。  次に、都営青山北町アパートの建て替えについてのお尋ねですが、先ほどのお答えどおり、従前の戸数まで増やすことにつきましては、区全体での都営住宅の充実も含めて、引き続き東京都に要望してまいります。  最後に、シルバーカーについてですが、シルバーカーを今、高齢者の方がどのような用途で使われているか、また、その機能などについて実情を把握する必要があると考えております。まず、実情を把握した上で、その後の適切な対応を図ってまいりたいと思います。  失礼しました。最後もう一問ございます。精神障害者への心身障害者福祉手当の支給についてのお尋ねでございますが、区では、当然あらゆる差別の解消に向けてさまざまな取り組みを進めていっておりますし、これからも進めていきます。障害者のための施策につきましては、障害の種類や等級等に応じまして、それぞれの障害者に合った適切なサービスを引き続き提供することができるよう努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○副議長(近藤まさ子君) 以上にて、本日の日程は全部終了いたしました。  本日の会議は、これをもって散会いたします。                                         午後五時一分散会...